アンコールワット添乗で出会ったカンボジアのブラック・ジャック

ベトナム・ホーチミンシティ経由でカンボジアが誇る遺跡・アンコールワットを訪問したツアー。

初めての観光地でワクワクしていたのも束の間、トラブル続きで身の不運を呪いました。

そんな状況のなかカンボジアの首都・プノンペンで私は神に出会いました。

今回の記事はHaruがご案内いたします。

1. 経由地ホーチミンシティでの辛い夜

そのツアーは、ある中小企業の経営者グループでした。

ベトナムはホーチミンシティにまずステイです。

行きの飛行機でアオザイを来たCAさんにうっとりした余韻が心地よいなかで旧サイゴンの街並みを楽しんでいた添乗員の私でしたが…

ホテル1階レストランで事件は起きました。

私のグループから2名のお客様が盗難に遭われました。

その内のお一人が激怒してテーブルクロスをひっくり返して怒ります。

私はお客さんをなだめながらガイドに頼み込んでホテルの支配人に詫びを入れてもらったり、警察に行って盗難届を出したりとホーチミンシティの夜は散々でした。

2. カンボジアへのフライト前にベトナム名物『生春巻き』に舌鼓!

翌日は飛行機でアンコールワットへの移動日で心機一転、昼食ではベトナムの代表的料理の生春巻を食べて英気を養いました。

全席自由席というアバウトなプノンペン行きの飛行機でいざアンコールワット!です。

こんな感じの飛行機でした。

盗難事件で若干先行き不安なツアーを予感していましたが、美味しい食事にすっかり「気分上々!」でテンションが上がっていた私。

しかし前夜の事件は予兆に過ぎなかったのです…。

3. 仮屋崎(仮名)さん、大丈夫ですか~~?

安定飛行に入ると、私のお客さんの一人が腹痛を訴え出しトイレに駆け込む場面がありました。

直ぐにすっきりして戻って来るだろうとタカをくくっていましたが、いつまで経っても戻って来ません。

トイレのドアをトントンして、

「大丈夫ですか?假屋崎(仮名)さん」

って話しかけると、中から呻き声が聞こえてきます。

これはランチが当たったかと思い、

「ちょっと出られませんか?」

と、話しかけ症状を確認することにしました。

假屋崎(仮名)さんはドアを開けてくれました。

いつもは陽気なムードメーカーの假屋崎(仮名)さんですが、今日はその面影はなく虫の息です。

「はるさん…ここ動けません…」

冷や汗を額に貯めた假屋崎(仮名)さんはまたドアを閉めてしまいました。

仕方なくガイドさんを通じてCAさんにも事情を話してトイレ前に待機していました。

4. あなた…どこで着陸しちゃうんですか?

ホーチミンシティからカンボジアのプノンペンまでは飛行機ならあっという間です。

ほどなく着陸体勢にはいる旨の機内放送が入りました。

ドンドンドンッ!

「假屋崎(仮名)さん!大丈夫ですか?もうすぐ着陸しますから一旦席に着いてもらえますか?」

「…」

応答がありません。

ヤバいよ~

オタオタしているとCAさんが私に向かって自分の席に着くように促します。

私はトイレを指差し、

「お客さんがいるから」

というアピールをしますが、

「大丈夫だから席に着け」

という風に大きく何度も頷きながら私を後ろの方へ押しやります。

仕方なく自分の席に着きシートベルトを締めて着陸に備えます。

結局、假屋崎(仮名)さんは、トイレの中でプノンペンの地を踏むことになりました。

5. 連携が素晴らしかったプノンペン空港での対応とは?

私は機体が停止するとトイレに駆け寄って、

「假屋崎(仮名)さん!着きましたよ!開けてください!」

と、またドアをドンドン叩きました。

すると静かにドアが開きました。

假屋崎(仮名)さんはぐったりとしており、私たちが抱えてタラップを下すことに…。

すると滑走路には、車いすが用意されていました。

假屋崎(仮名)さんを座らせて空港の建物まで滑走路を一目散に押していきました。

ホーチミンシティから同行してきたガイドさんは、空港でカンボジアの現地ガイドさんとコンタクトがとれ状況を説明しています。

既に現地には話が伝わっていたようで、空港の外には救急車が待機していました。

CAさんとガイドさんたちの連携が素晴らしいです。

私のようにオタオタしているだけではありません。

6. 仮屋崎(仮名)さん、一目散に病院へ!そして添乗員の私は…

假屋崎(仮名)さんは、そのまま救急車に運ばれて病院へ直行です。

ツアーのお客さんも皆さん仲間ですので心配だからとバスで病院へ。

急性の腸炎みたいなもののようで、注射を打ってもらい一気に痛みが引いたようです。

しばらくベッドで休んでもらうことにして、私は他のお客様とともにホテルへ向かいました。

既に夜でしたのでレストランでの夕食へご案内してその間に病院へ向かうことにしました。

レストランで一服していると、私も急に体に悪寒が走り、お腹を差し込むような激痛が…

痛みでうずくまるようにしていると、冷や汗が止まりません。

それでも、このレストランでお食事中に病院まで假屋崎(仮名)さんを迎えに行かねばなりません。

お客様は、ホーチミンのガイドさんに任せて、プノンペンのガイドさんとともに車で病院へ。

7. 仮屋崎(仮名)さん、完全復活! はやっ!(-_-;)

假屋崎(仮名)さんの休んでいる部屋に行くと、さっきのぐったりした姿が嘘のように元気な假屋崎(仮名)さんがベッドに腰掛けています。

そして、ボディランゲージで看護婦さんをからかっているではありませんか…。

もういつもの仮屋崎(仮名)さんに戻ってます。
(・_・;)

私は、もう立っているのも精いっぱいな状態です。

私が来た事に気づいて、

「あー、はるさん!ここの先生は名医だよ!注射打ったら、この通り元気になったよ!」

腕なんか振り上げちゃってます。

「あれ?どうしたの、はるさん。あ、もしかしてお腹痛くなっちゃった?じゃぁ、先生に注射打ってもらいなよ!」

激痛の中で、

(正直言って、注射怖い…衛生面とか大丈夫なんだろうか…)

と不安がよぎりましたが、

假屋崎(仮名)さんの姿を見ていると、藁をもすがる思いで声を振り絞りました。

「お、お願いします…」

8. 「カンボジアの名医」の治療とは?

假屋崎(仮名)さんに名医と称賛された先生を看護婦さんが呼んできてくれて、私がベッドに横たわり診察が始まりました。

お腹を出して触診です。

ガイドさんが通訳してくれます。

「どこが痛いですか?」

私は、手で一番痛いところをさするようにすると、先生は日本では漫画の中でしか見たことないようなぶっとい注射器を、

なんと!

私が痛いって言ったその場所めがけて差し込みました。

え~~~~~~!

注射って痛いとこに打つと治るもんなの?

(俺、大丈夫かなあ…)

すっごく心配になってきました。

でも、とにかくもうあきらめて、なすがままに最後の一滴まで注入してもらいました。

9. カンボジアにはブラックジャックがいた

すると…

本当に…

5分も経たないうちに…

あんなに痛かったのが嘘のように引いていきました。

脂汗も引っ込んで、本当に普通に戻っちゃったんです。

「すごいよ!先生!あんた、世界に誇れる名医だよ!」

私は心の中で叫びましたが、実際には握手をして何度も頭を下げてお礼を言いました。

こうして、ほどなく私と假屋崎(仮名)さんは車でみんなが待つホテルへ帰っていきました。

假屋崎(仮名)さんは、もっと看護師さんと遊んでいたかったみたいでしたが、私が

「皆さん心配してますよ」

と、言ったら、

「しょうがないなぁ」

と、しぶしぶ車に乗り込んでくれました。

翌日はいよいよプノンペンからアンコールワットのある町、シュムリアップへと移動です。

この假屋崎(仮名)さん…

この事件以後、それ以前にも増してパワー全開でした。

ふざけて書いているように見えるかもしれませんが、全部実話です。(お名前以外は)
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