薬の領収書は捨てないで！少額でも適用可能な医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」がスタート！

薬を買ったら必ず領収書をもらって取っておきましょう！

２０１７年１月１日から始まった「セルフメディケーション税制」では従来の「医療費控除」とは別に市販薬の購入に所得税の軽減が可能な「医療費控除の特例」が認められます。

従来の医療費控除は10万円を超えないと控除を受けられませんでしたが、家族の年間購入金額が12,000円を超えると控除が受けられるので適用できるご家庭は多いので知っておいて損は無い情報かと思います。

この「セルフメディケーション税制」の概要と対象となる市販薬の種類、控除を受けるために必要な書類や手続きについてお伝えしたいと思います。

1. セルフメディケーション税制とは？

平成29年1月1日以降に、スイッチＯＴＣ医薬品（要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品）を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。

1-1. セルフメディケーション税制による控除額は？

「所得控除の金額」＝「年間の購入額合計」－ 12,000円

所得控除の上限額は88,000円

例１）対象医薬品購入額：2万円／所得税率：20％／住民税率：10%
所得控除：20,000円－12,000円＝8,000円
所得税の減税額：8,000円×20％＝1,600円
住民税の減税額：8,000円×10%＝800円
減税額の合計：2,400円

例２）対象医薬品購入額：12万円／所得税率：30％／住民税率：10%
所得控除：120,000円－12,000円＝108,000円＞88,000円
　　　　　∴88,000円　　　　
所得税の減税額：88,000円×30％＝26,400円
住民税の減税額：88,000円×10%＝8,800円
減税額の合計：35,200円

1-2. セルフメディケーション税制の対象となる医薬品

対象となる成分を含むスイッチＯＴＣ医薬品が対象となります。

「スイッチＯＴＣ医薬品」とは「医療用から転用された医薬品」という定義です。

医師の処方箋が無くても薬局やドラッグストアで購入できる薬のことをスイッチＯＴＣ医薬品と言いますが、対象となる成分は2016年12月時点で82の成分とされています。

上記のマークが目印ということです。

まだパッケージなどの記載がないものも多いかもしれませんが、順次記載された商品が出回っていくのではないかと思います。

覚えておくと良いかもしれませんね。

業界団体の広報紙面には以下の様な説明がされています。

「現在、製造メーカーは、対象となるOTC医薬品のパッケージに右のような識別マークを印刷またはシールで貼付する作業を行っており、この制度が始まる2017年1月には多くの対象製品をマーク付きに置き換えていく予定です。」

このマークが付いていなくても制度の対象となるものもありますので確認が必要です。

1-2-1. 対象となる医薬品の薬効の例

風邪薬、胃腸薬、鼻炎用内服液、水虫用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬
※上記の薬効がある医薬品すべてが対象というわけではありません

1-3. セルフメディケーション税制の対象となる為に必要なこと

「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」が対象としています。

これはいったい何をさしているかというと…

「特定健康診査」「予防接種」「定期健康診断」「健康診査」「がん検診」等をしていることを指しています。

つまり予防接種や健康診断等のいずれかをしていればＯＫということです。

具体的な内容については後述の「手続き」の項目をご参照下さい。

1-4. セルフメディケーション税制に必要な手続きは？

セルフメディケーション税制で所得税の所得控除を受けるには確定申告をすることが必要です。

確定申告を普段しないサラリーマンの方などにとっては面倒な手続きではありますが、会社で年末調整をしていれば源泉徴収票がありますのでさほど難しい手続きではありません。

但し確定申告書の記載、源泉徴収票の他にも必要書類がありますので申告時期に慌てないように領収書をきちんと整理したり証明書類をあらかじめ準備しておきましょう。

1-5. セルフメディケーション税制に必要な書類

通常の確定申告で必要な書類（確定申告書や源泉徴収票等）の他にこの制度を受けるには以下の書類が必要となります。

1-5-1. 購入時の領収書・レシート

必要事項として以下の記載がされたものとなっています。

1. 商品名
2. 金額
3. 対象品である旨
4. 販売店名
5. 購入日

尚、対象品目は2ヶ月に一度の頻度で更新されるとのことですので、対象品目外の医薬品を購入した場合もレシートは捨てずに取っておきましょう。（※Ｑ＆Ａ参照）

1-5-2. 健康増進等への「一定の取組」の証明書

先述の「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組」に関して実際に予防接種や健康診断を行ったという証明書を確定申告時に提出する必要があります。

複数の取組をしていてもどれか一つに該当していれば良いので重複して提出する必要はありません。

こちらについては厚生労働省が作成したフローチャートによって確認すると良いでしょう。

2. セルフメディケーション税制 Ｑ＆Ａ

更に詳しく知りたい方のためのＱ＆Ａです。

Q1「一定の取組」に任意（全額自己負担）で受診したものは含まれますか？

任意に受信した健康診断（全額自己負担）は「一定の取組」に含まれません。

Q2「一定の取組」に健康診断等の再検査（要再検査・要精密検査等）は含まれますか？

健康診断等の結果により、要再検査や要精密検査等と判定されて受診したものは対象となりません。

Q3 健康診断等は同一世帯の全員が受診しなければいけませんか？

確定申告をされる方が「一定の取組」を実施していることが必要ですが、全員が受診している必要はありません。

Q4 対象の医薬品を通信販売等で購入する際、いつからこの制度の対象になりますか？

支払い日が平成29年1月1日以降であれば対象となります。

Q5 控除の対象となる額は税込みか税抜きかどちらでしょうか？

実際に支払った税込み後の価格が控除の対象となります。

Q6 販売時に割引があった場合、控除額はどのような取扱いになるのでしょうか？

割引後の価格が控除額となります。

Q7 購入した証明書類をなくしてしまった場合はどうすればいいですか？

購入した薬局等でレシートの再発行をしていただく必要があります。

Q8 領収書に対象医薬品の目印が付けられていなかった場合はどうすれば良いですか？

購入した薬局等でレシートの再発行をしていただく必要があります。

Q9 購入後に対象に追加された商品を購入した場合、税制の対象となりますか？

対象となります。

その場合、レシートの再発行が必要かどうかは現在確認中です。

Q10 従来の医療費控除制度との併用は可能ですか？

併用はできません。購入した対象医薬品の代金はどちらの制度を適用するかをご自身で選択することになります。

3. 製薬会社別 対象医薬品 具体例

各社の対象医薬品の一例をご紹介します。

目薬や禁煙補助薬等も対象となっています。

3-1. 第一三共ヘルスケア

3-2. エスエス製薬

3-3. ロート製薬

3-4. 武田薬品工業

3-5. エーザイ

※掲載順はイメージキャラクターの写真が可愛い順

2016年10月現在の対象医薬品全リストが厚生労働省で提供されています。

詳細を確認したい方は以下で確認してみて下さい。

4. 確定申告が初めての方には

サラリーマン等で確定申告をしたことが無い方にとっては敷居が高いかもしれませんが、それほど難しい手続きではありません。

最近はクラウド型の申告書作成ソフトを無償で国税庁が提供しています。

その辺のことも含めてちょっと「確定申告について知っておきたい」という方は以下の記事をご覧になってみて下さい。

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またちょっと斜めから見た記事も書いてみました。

【セルフメディケーション税制が2017年1月1日よりスタート！少額医療費控除で税金が安くなる！】

2017年1月1日購入分の医薬品から対象となる「セルフメディケーション税制」がスタートしました。 この制度は従来の医療費控除の特例として対象となる医薬品を12,000円以上購入すると確定申告することによって所...

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