≪年末調整 実践編≫テンプレートで昨年の年末調整をして答え合わせをしてみる

投稿日:2016-11-26 更新日:

年末調整提出書類

で年末調整の仕組みと計算方法、エクセルの計算シートのテンプレートをお伝えしました。

今回は既に年末調整の計算結果が出ている昨年実績のデータを使って年末調整の計算練習する方法をご紹介したいと思います。

自分で年末調整計算ができるのかどうかを確認しておかないと誤った計算結果となってしまいますので、それを防止するために昨年実績データで練習問題を解いてみましょう。

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1. 昨年の年末調整をする準備

まずは以下の記事をお読みになり年末調整全般の段取りをご理解の上、年末調整計算用のエクセルのテンプレートをダウンロードして下さい。

ちなみに平成27年と平成28年の年末調整の計算構造は基本的に変わりませんので、平成28年・年末調整計算用にご用意したエクセルのテンプレートをそのままご活用ください。

その上で以下のものをご用意ください。

  1. 昨年1月~12月支給分の給与明細すべて
  2. 昨年の源泉徴収票

2. 昨年1年間の給与台帳を作成する

給与台帳の計算は昨年の給与明細に基づいてひたすら入力していくだけです。

白い色のセルが入力項目です。

注意するのは自分の給与の支給額(場合によっては控除額も)のどの項目が所得税法上の『課税支給額』に該当するものかをきちんと把握することです。

各種手当はほとんどが課税となりますが、非課税通勤手当など課税対象外になるものもありますので、きちんと切り分けて入力することが大切です。

3. 年末調整計算を行う

給与台帳の集計が完了したらいよいよ年末調整計算に入ります。

エクセルの『年末調整シート』タブをクリックしてシートを切り替えます。

白い色のセルが入力項目です。

3-1. 給与所得を計算する

最上段にある『給与台帳』から転記された数値が既に入力されていると思います。

所得税法上の『年収』が『給与収入合計』として入力されていると思います。

給与所得は以下の記事で詳細を説明していますのでご参照下さい。

参考記事をチェック!

給与所得の算出方法

課税支給額が660万円未満の場合には『年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表』で算出しますので、下記のリンク先からその表をダウンロードして算出して下さい。

3-2. 所得控除を算出する

各所得控除を入力していきます。

項目によって入力すべき白いセルの位置が異なります。

注意して入力して下さい。

社会保険料は国民健康保険、国民年金の支払いが無ければ給与台帳からの転記された金額のみですので、入力不要となります。

詳細は下記をご参照下さい。

生命保険料控除や地震保険料控除は保険会社が発行した控除証明が手元に無いケースがほとんどで自分の支払った保険料を思い出すのは困難かと思います。

代用として『源泉徴収票』に記載事項を転記しましょう。

源泉徴収票には保険料控除の金額が記載されていますので保険料から計算する必要はありません。

従いまして、源泉徴収記載の『生命保険料控除』と『地震保険料控除』をそのまま転記して、その保険料の内訳は無視してしまいましょう。

源泉徴収票から各保険の保険料控除の金額を読み取る方法は下記を参照願います。

参考記事をチェック!

源泉徴収票の記載事項の見方

「人」に関わる所得控除に関しては親族の生年月日などで参照可能であると思います。

難しいのは配偶者の所得があった場合に、いくらだったのか?ということです。

給与所得のみ配偶者であれば103万円以下であれば配偶者控除になりますので、この点は覚えているかもしれません。

しかし103万円を超える金額ですと配偶者特別控除の控除額が段階的に変動します。

覚えていない場合には代用として『源泉徴収票』に記載されている『配偶者の合計所得』欄を参考に算定しましょう。

3-3. 適用税率と控除額を算出する

給与所得と所得控除額の入力が完了しますと自動的に課税所得が計算されます。

適用税率と控除額を入力して『算出所得税額』を計算します。

右横の白いセルにカーソルを合わせますと▼マークが現れますので課税所得の金額に見合うものを選んでそれを読み取ったものを左側の『適用税率』欄と『控除額』欄に手入力して下さい。

詳細は下記をご参照下さい。

参考記事をチェック!

所得税額の計算はこうする

3-4. 税額控除を転記入力する

税率を掛け算した金額から控除額を差し引いて計算された『算出所得税額』から『税額控除』を更に差し引いたものが『年調年税額』となります。

これが給与所得に対する年間の所得税額となります。

所得控除が税率を掛け算する前の金額を減らせるのに対して、『税額控除』はその名の通り、計算された税金を減額することができます。

通常は自宅を住宅ローンで新築・増改築した方が受けられる『住宅借入金等特別控除額』いわゆる「住宅ローン減税額」ぐらいだと思います。

該当しない方はこの欄は飛ばして計算が完了します。

ちなみ『年調所得税額』と『年調年税額』の違いは『復興特別税』が含まれているかどうかの違いです。

『年調所得税額』に『復興特別税』の税率2.1%を加味して自動計算しています。

ちなみに復興特別税とは東日本大震災からの復興のための施策を実施するために個人の税金に2.1%上乗せして財源を確保しているのです。当初法人税にも課せられていましたが早々に法律改正して上乗せ徴収が終了したのに反して個人への上乗せは平成49年までという途方もなく長きに渡り徴収されることが決まっています。

3-5. 還付金が自動計算される

年末調整における還付金は月々給与から徴収されている源泉徴収税額の年間の累計額から今回の年末調整計算で算出された『年調年税額』を差し引いて算出されます。

『源泉徴収税額の年間累計額』は給与台帳で既に集計されていますので、そこから自動的に転記入力されます。

4. 計算結果を検証する

昨年の年末調整は勤務先企業がしてくれています。

早速答え合わせをしましょう。

4-1. 年末調整の解答とは?

さて答え合わせするための解答はどこにあるのでしょうか?

それは会社が発行してくれる『源泉徴収票』です。

会社員なら12月か1月に必ず会社からもらっていると思います。、

皆さんは渡された時にどの程度目を通していますでしょうか?

4-2. 源泉徴収票の記載事項の見方

源泉徴収票はよく見るといろいろなことが合理的に書かれているのが分かります。

源泉徴収票サンプル

年末調整の結果が反映された内容になっています。

それでは実際の源泉徴収票で見ていきましょう。

4-2-1. 主要金額は上段に記載されている

源泉徴収票_金額欄説明

赤色の枠①で示されている『支払金額』は、課税支給額です。

黄色の枠②で示されている『給与所得控除後の金額』は、給与所得額です。

水色の枠③で示されている『所得控除の額の合計額』は、その名の通り所得控除の合計額です。

ピンクの枠④で示されている『源泉徴収税額』は、少し説明が必要です。

4-2-2. 注意を要する源泉徴収票に記載された源泉徴収税額

給与台帳に記載されている『源泉徴収税額』は月々の給与や賞与で徴収してきた源泉徴収税額で年末調整の計算シートに転記されるのはそれらの年間の合計額です。

しかし源泉徴収票に記載されている『源泉徴収税額』は年末調整後の金額です。

厳密に言うと年末調整で計算された還付金をどうやって取り扱ったによってこの金額には異なってきます。

例えば12月10日に「冬季賞与」が、12月25日に「12月分給与」がそれぞれ支給された会社の場合、通常年内最後の支給となる12月25日の「12月分給与」の給与支給時に還付金も同時に精算されます。

ですから12月分の給与を支給した場合の通常の源泉所得税を一旦計算した後に年末調整を行い所得税の還付金を算出します。

そして「通常月としての源泉徴収税額」と「還付金の額」を合算して12月25日支給分給与の源泉徴収税額とします。

例)「12月分給与の源泉徴収税額」:25,000円 「年末調整還付金」:89,000円

12月分の給与の源泉徴収税額は 25,000円 - 89,000円 = ▲64,000円 となります。

つまり給与明細上、12月分は源泉所得税が64,000円のマイナスということになります。

上記の例の様に年末調整還付金を調整後の源泉所得税を年間で合計した金額が『源泉徴収表』の『源泉徴収税額』に記載される金額になります。

源泉徴収票_源泉徴収税額

これは結果として年末調整で計算された年間の給与所得に対する所得税額となります。

年末調整計算シートにおける『年調年税額』と同額になります。

上記の例ですと『年調年税額』は345,300円ということです。

でもこれと異なるケースもあります。

それは年末調整の還付金を12月最後の支給の給与に反映させず翌月の給与支給時に含めたり、別途振込や現金で還付金を支給する会社です。

例)「12月分給与の源泉徴収税額」:25,000円 「年末調整還付金」:89,000円

但し年末調整の還付金を1月支給の給与明細に反映して還付する。

12月分の給与の源泉徴収税額は 25,000円 となります。

上記の例では年間の源泉所得税の累計額は年間の給与所得に対する所得税額を表わしていません。

1月に前年の所得税の調整額が反映されて今年の所得税の調整額は翌年の源泉徴収票に反映します。

4-2-3. 中段には所得控除の内訳が記載れている

源泉徴収票_各種控除額明細説明

源泉徴収票の中段以降には沢山の項目がある所得控除の金額の明細や計算根拠が記載されています。

赤色の枠①で示されている部分には保険料に関わる所得控除項目の控除額が記載されています。

水色の枠③で示されている部分には生命保険料・地震保険料控除の計算根拠になった保険料の金額が記載されています。

ピンクの枠④で示されている部分には「人」に関わる所得控除項目の計算根拠になった内容が記載されています。

黄色の枠②で示されている部分には税額控除である『住宅借入金等特別控除』の額やそれらに書ききれない内容が『摘要』として自由記述されています。

画像の例では『住宅借入金等特別控除』対象の住宅の居住開始年月日が記載されています。

4-2-4. その他の記載事項

最上段には本人の住所や氏名が、最下段には会社の住所や会社名が記載されています。

しかりこれらは年末調整の結果の検証には関係ありません。

尚、マイナンバーの導入もあり平成28年の源泉徴収票の様式は大きく変更になる予定です。

様式変更後の源泉徴収票の見方についてはいずれ別の記事でご紹介したいと思います。

ご興味がある方は国税庁の下記のページをご参照ください。

4-3. 年末調整の検証その1

模範解答を会社作成の源泉徴収票として年末調整の結果を検証していきましょう。

4-3-1. 課税支給額

『年末調整計算シート』「給与収入合計」欄に記載の金額

『源泉徴収票』「支払金額」欄に記載の金額

上記の2つの金額が一致していることを確認します。

もし異なる金額になっていたら給与台帳の課税対象の支給額が異なっている可能性があります。

各種手当や給与控除(遅刻や欠勤による給与のマイナス金額)の集計に誤りが無いか確認してみます。

4-3-2. 給与所得の金額

『年末調整計算シート』「給与所得」欄に記載の金額

『源泉徴収票』「給与所得控除後の金額」欄に記載の金額

上記の2つの金額が一致していることを確認します。

もし異なる金額になっていたら給与所得計算そのものの誤りか年末調整計算シートに転記する際の転記ミス等が考えられます。

また「給与収入合計」欄が既に間違っていた場合にはこちらにも影響しますので、訂正した場合には給与所得もやり直しをする必要があります。

4-4. 年末調整の検証その2

次に所得控除項目の検証に移ります。

所得控除項目の内、保険料関連の判定や金額に誤りがないかを確認します。

4-4-1. 所得控除の合計額の検証

まずは全ての所得控除を合計した金額を確認します。

チェックポイント!
参照元 該当欄
『年末調整計算シート』 「所得控除合計」欄に記載の金額
『源泉徴収票』 「所得控除の額の合計額」欄に記載の金額
上記の2つの金額が一致していることを確認

金額が一致していればその中身である各種金額に大きな間違いがないと思われ一安心です。

不一致であれば何を集計ミスしているか一つづつ検証していきましょう。

4-4-2. 社会保険料控除

社会保険料控除は計算式は無く、支払った社会保険料全額が控除の対象となります。

従いまして集計ミス、特に給与明細から給与台帳への転記ミスが可能性が大きいです。

毎月の給与明細の各種社会保険料の金額とエクセルに入力した金額を見比べて再確認を行いましょう。

4-4-3. 生命保険料控除

チェックポイント!
参照元 該当欄
『年末調整計算シート』 「生命保険料控除」欄に記載の金額
『源泉徴収票』 「生命保険料の控除額」欄に記載の金額
上記の2つの金額が一致していることを確認

もし不一致であれば源泉徴収票の金額の転記ミスです。

源泉徴収票記載の金額に合わせて『年末調整計算シート』に入力した金額を訂正しましょう。

4-4-4. 地震保険料控除

チェックポイント!
参照元 該当欄
『年末調整計算シート』 「地震保険料控除」欄に記載の金額
『源泉徴収票』 「地震保険料の控除額」欄に記載の金額
上記の2つの金額が一致していることを確認

もし不一致であれば源泉徴収票の金額の転記ミスです。

源泉徴収票記載の金額に合わせて『年末調整計算シート』に入力した金額を訂正しましょう。

4-4-5. 保険料関連の所得控除のチェックについて

保険料に関する所得控除の金額は「小規模共済掛金控除」以外は控除金額が『源泉徴収票』に記載されています。

また「小規模共済掛金控除」は掛金そのものですので計算誤りをすることがありませんし、そもそもサラリーマンでの加入は少ないと思われますのでほとんどの方が無関係でしょう。

従いまして、計算シートの金額に間違えがあれば源泉徴収票の金額と比較すればすぐに見つけられると思います。

4-5. 年末調整の検証その3

次に所得控除項目の内、「人」に関する所得控除に関連する判定や金額に誤りがないかを確認します。

4-5-1. 配偶者/配偶者特別控除

チェックポイント!
参照元 該当欄
『年末調整計算シート』 「配偶者/配偶者特別控除」欄に記載の金額
『源泉徴収票』 「配偶者特別控除の額」欄に記載の金額
源泉徴収票にゼロ以外の金額が記載されている場合、上記2つの金額が一致していることを確認
『年末調整計算シート』 「配偶者/配偶者特別控除」欄に記載の金額
『源泉徴収票』 「控除対象配偶者の有無等」欄に記載の○印
『源泉徴収票』 「配偶者の合計所得」欄に記載の金額
控除対象配偶者の有無等欄の「有」に○印がついていれば「配偶者の所得」に応じた控除があるはずです。所得との関連を確認しましょう。

 配偶者の所得(収入)と所得控除の関係

4-5-2. 扶養控除

扶養控除はパターンが多いので注意が必要かもしれません。

ただ保険料控除の様に計算式にあてはめる必要はありません。

扶養親族の年齢や所得などを確認して「どのカテゴリにあてはまるのか?」を良く吟味することに尽きます。

また年齢は「その年の」12月31日時点で判定します。

4-5-3. その他の所得控除

源泉徴収票_各種控除額明細説明

上の図の源泉徴収票のピンクで囲った④の中にある各親族の種別等の記載について該当○印がどこについているのかを確認します。

障害者、寡婦、寡夫、老人なのかどうか、など大抵の「該当/非該当」情報が○印で示されています。

5. 練習問題が解けるようになったら…

昨年の実績に基づいてエクセルで年末調整ができるようになったら、源泉徴収票が無くても年末調整ができるようにしてみましょう!

最も重要なことは「まだ支給されていない、つまり給与明細がない」給与や賞与について正確な数値を算出することです。

これらにつきましてはまた別の記事にてお伝えしたいと思います。

生命保険料控除や地震保険料控除について保険料を入力すると所得控除額を自動計算するバージョンを作成しました。この計算シートでは年末調整データを入力すれば「市町村民税所得割額」まで自動計算する機能も付いています。

今すぐダウンロード!

市町村民税所得割額計算シート

詳しい使用方法は下記の記事も併せて参考にしてみて下さい。

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この記事は2016年11月現在の法律等に基づいて書かれていますが、詳細は入学する高等学校や税務署、税理士などの専門家へご確認の上、ご判断をお願いします。

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