総務省指導でメリットが減少?返礼品が無くても役立つ「ふるさと納税」のメリットとは?

2018年4月1日付の「ふるさと納税に係る返礼品の送付等についての総務大臣通知」で総務省は都道府県知事宛にふるさと納税の返礼品について市町村への周知徹底・指導強化を依頼しています。

この内容はふるさと納税による返礼品によるメリットを縮小するようにという内容です。

1. ふるさと納税の最大のメリット

ふるさと納税のメリットは「一定金額以内に収めれば」、2,000円でいろいろなもの(高級牛肉とかお米等の名産品やパソコンなど)がゲットできるというものです。

特にこの制度は納税額が大きければ大きいほど「収めるべき一定金額」が大きくなり得られるメリットも大きくなると制度であることから、制度を利用したメリットを享受できることに敏感でそのメリットが大きい方は貴重なアイテムとして活用してきたことと思います。

私の過去記事ではこの「一定金額以内」の金額を算定するエクセルのテンプレート等もご提供してまいりました。

2. 前回のの総務省の指導

各自治体は地方税の獲得合戦の様相を呈して納税者のメリットである返礼品に関して「如何に魅力的なものを提供できるか?」にしのぎを削ってきました。

人気の返礼品となれば全国からふるさと納税が殺到して税収が一気に上がります。

また逆に住民が他の自治体へふるさと納税されてしまうと自治体の税収が減ってしまいます。

そしてこの過熱ぶりは当初のふるさと納税の趣旨に反しているということで総務省は指導してきました。

2017年4月に総務大臣から各都道府県知事あてに送付された通知の趣旨は以下の通りです。

2-1. ふるさと納税の募集に関する基本的事項

「返礼品の送付を強調してふるさと納税を募集することを慎む一方で、寄附金の使用目的を地域の実情に合わせたものにして、そのことを良く理解したもらった上で応募してもらえる募集にして、その成果をきちんと公表・報告して「ふるさと納税の目的」が明確に伝わるように努めて下さいね。」
とお願いしています。

2-2. 返礼品のあり方

返礼品の位置づけや返礼品に選定について以下の様に指導しています。

2-2-1. 返礼品の価格等の表示について

ウェブサイト等で「返礼品の価格」や「返礼品の価格の割合」(寄附額の何%相当など)の表示により返礼品の送付が対価の提供との誤解を招きかねないような表示により寄附を募集する行為を行わないようにすること。

2-2-2. ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品について

返礼品としてふさわしくない品目

  1. 金銭類似性の高いもの(プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金等)
  2. 資産性の高いもの(電気・電子機器、家具、貴金属、宝飾品、時計、カメラ、ゴルフ用品、楽器、自転車等)
  3. 価格が高額のもの
  4. 寄附額に対する返礼品の調達価格の割合(返礼割合)が3割を超えるもの

2-2-3. 住民に対して返礼品を送付しない

自分の居住する自治体へも「ふるさと納税」することができますが、その様なケースでは返礼品は送付しないことを求めています。

2-3. 一時所得であることの周知

「ふるさと納税の返礼品は寄附金の対価として送付されているものではない、という前提で仕組みができているので返礼品を受け取った納税者は返礼品で得る利益は一時所得という認識が必要で、場合によっては所得税の課税対象であることを返礼品送付時に周知してね。」と指導しています。

2-4. ふるさと納税の募集、周知等の事務に要する経費について

ふるさと納税は従来の納税とは別のスキムが必要で少なからず地方自治体の事務コストは増大します。

その上、返礼品の調達費用や募集広告等の費用、返礼品取扱事務負担等、返礼品競争が加熱すればするほどコストが増加して実質的な財源の減少になることに警鐘を鳴らしています。

「従ってここに書かれている返礼品に対する指導内容や公益性を良く考慮してかけるコストについて良く吟味して下さいね。」と指導しています。

3. 聞き分けのない自治体に総務省が更なる指導で是正を強化

ふるさと納税の返礼品が、支払う「寄附金」以上の価値があることから納税者に大きなメリットをもたらしてきた「ふるさと納税」制度ですが、本来の趣旨に反して繰り広げられている自治体間による「返礼品」合戦について歯止めをかけたい総務省は従来の指導が一向に守られない状況に更なる遵守を傘下市町村への指導強化・周知徹底を依頼する形になっています。

前回の指導で遵守してくれるようになった自治体がある一方で、一向に守ってくれない自治体があることに、制度否定の論調が広がることを危惧しているようです。

今回の通知文書には以下の様な記載となっています。

 一方で、依然として、一部の団体において、返礼割合が高い返礼品をはじめとして、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されている状況が見受けられます。仮にこのような状況が続けば、ふるさと納税制度全体に対する国民の信頼を損なうこととなります。今後、制度を健全に発展させていくためにも、特に、返礼割合が3割を超えるものを返礼品としている団体においては、各地方団体が見直しを進めている状況の下で、他の地方団体に対して好ましくない影響を及ぼすことから、責任と良識のある対応を徹底するようお願いします。
 また、地域資源を活用し、地域の活性化を図ることがふるさと納税の重要な役割でもあることを踏まえれば、返礼品を送付する場合であっても、地方団体の区域内で生産されたものや提供されるサービスとすることが適切であることから、良識のある対応をお願いします。
引用:2018年4月1日付ふるさと納税に係る返礼品の送付等についての総務大臣通知

前回の通知内容以外にも返礼品が「地場生産品」や「地元提供のサービス」であることも強調して傘下の市町村への指導強化を都道府県に要請しています。

4. 行政指導強化でふるさと納税のメリットは縮小?

総務省からの通知には強制力がない、とも言われていますが、度重なる指導は都道府県にも届くでしょう。

実際、総務省からの通知で目玉と言われる返礼品は段々と姿を消しているようです。

ある意味、「ふるさと納税バブル」の様な時期は終焉を迎えつつあるのでしょう。

おそらくメリット縮小で「趣旨よりもメリット」でふるさと納税を利用する人は減少していき納税額も減少するのではないかと考えています。

4-1. 実はふるさと納税の財源負担をしている国

実際、この制度でふるさと納税が趣旨に反して運用されてしまうとその多くの財源を負担している国としては国税を負担する国民に申し開きがしにくくなると思われます。

この制度での金銭負担について私なりに考察した記事をブログで書いていますのでご興味のある方はご覧になってみて下さい。

4-2. そもそも総務省が言っている「趣旨」とは?

私はふるさと納税が始まった頃、運用形態に大変疑問を持ち、かなり詳細に設立の趣旨や現行の運用に至るまでの経緯を調べてみました。

その経緯についても一つのブログ記事にまとめたことがありますので、更なるご興味がある方は以下の記事をご覧になってみて下さい。

5. それでもメリットはないことも無いふるさと納税

返礼品でのメリット享受が縮小されるなか、それでもメリットがある方がいます。

それは高校授業料の補助が受けられる制度、「高等学校等就学支援金」受給対象となる家庭です。

満額受給のボーダーライン上にある所得レベルの家計ではふるさと納税は有効活用可能です。

簡単に言えば、「高等学校等就学支援金」の受給のボーダーラインは家計単位の「市町村民税所得割額」の合計額で判定しますが、寄附金の一種であるふるさと納税による寄附金控除による減額効果を利用することによって上記の金額を減額することが可能であるということです。

詳しくお知りになりたい方は以下の記事をご参照下さい。

6. 「知らないと損をする」って良くない

ここまでこの記事を読まれた方はこのふるさと納税の仕組みが当初の趣旨に合致していない点を否定的にとらえているにも関わらず、私が納税者の損得計算が簡単にできる記事をブログでご紹介することに疑問をお持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。

私自身、以前は税金のことなど無頓着でしたが、会計事務所に勤務して税金が身近な存在になってから、「公的な制度って知らないと損をして、知っているととても得をする制度が世の中には結構あること」を知りました。

何だか不公平な気がして、趣旨がどうであれ法律として施行されているものは出来る限る「知っている人だけ美味しい思いをする」のは少しでも解消すべきではないかな?って考えています。

私のブログなんて読者も少数で何の力にもなりませんが、知り得たことは独り占めしたくないなって気持ちがあります。

また「お金にまつわること」について沢山勉強している方にとっては「勉強の努力が足りない」から仕方がない、それを不公平というのはちょっと違うのでは?という意見もあるかもしれませんが、私は行政が行うことは「努力しなくてもみんなが知れることが良い」と考えています。

ということでこんな記事を書いております。

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