高校受験を控えたご家庭では受験生の勉強の進み具合や受験校の選択など検討すべきことも多いですが、家計にまつわることにもぬかりなく情報を集めて万全の準備で臨みましょう!
1. 高校の授業料の補助が受けられる『高等学校等就学支援金』制度
高校の受験生にいらっしゃるご家庭なら『高等学校等就学支援金』について聞いたことがあるかと思います。
とても強い味方となる制度です。
まずは概要のご紹介です。
1-1.『高等学校等就学支援金』の概要
『高等学校等就学支援金』とは高校授業料の補助金が受けられる制度です。
公立高校なら授業料の全額が補助の対象となりますし、私立高校の場合は全額ではなくても公立高校以上の補助を受けることもできます。
『高等学校等就学支援金』の詳細は以下の記事をご参照下さい。
1-2. 高校授業料の補助金の金額は?
公立高校の年間の授業料は118,800円です。
所得制限にかからなければ3年間で356,400円の補助が受けられます。
その他にも私立高校の場合にどのくらい補助が受けられるのかをまとめた記事も用意していますので私立高校に入学を検討されているご家庭の方はコチラの記事もご参照下さい。
2.『高等学校等就学支援金』制度の適用で気を付けたい『所得制限』
しかしながらこの『高等学校等就学支援金』制度には『所得制限』が設けられています。
もしこの所得制限に該当してしまうと授業料の補助が受けられません。
ポイントは以下の通りです。
- 所得制限の判定が『世帯収入』を対象にしていること
- その世帯収入は『高校入学前年の収入』で判定されるということ
『高等学校等就学支援金』の所得制限については以下の記事で詳細をお伝えしております。
3.『ふるさと納税』が所得制限の壁を突破するアイテムとなる
高校受験とふるさと納税がどうして関係があるのかと言えば、この所得制限に該当してしまう世帯でも『ふるさと納税』を上手に利用することにより非該当世帯にすることが可能だからです。
「実際にお子さんが入学する前年の内にふるさと納税による対策をたてておく必要がある」という点が今回お伝えしたい内容です。
それは所得制限の判定基準が高校入学前の世帯収入によるからです。
4. 所得制限の判定基準は『住民税所得割額』
聞き慣れない言葉かもしれませんが、『高等学校等就学支援金』支援金制度では所得制限における所得の判定を『住民税所得割額』で行っています。
『市町村民税所得割額』とはサラリーマンなら給与から毎月天引きされている住民税の年間の税額の一部です。
4-1.『住民税所得割額』とは?
住民税は以下の様な構成になっています。
- 都道府県民税・所得割額
- 都道府県民税・均等割額
- 市町村民税・所得割額
- 市町村民税・均等割額
今回のお話は上記のうち『都道府県民税・所得割額』『市町村民税・所得割額』になるわけです。
この記事では上記の2つの合計額を『住民税所得割額』と呼ぶことにします。
この『住民税所得割額』とは所得に応じた金額を負担をする税金です。
『住民税所得割額』は所得税の地方版と言ったところです。
住民税について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照下さい。
また『住民税所得割額』が一体何を指しているかも下記の記事でご理解頂けます。
4-2. 所得制限のボーダーラインは?
この『住民税所得割額』の世帯合計が50万7,000円以上の家庭では補助を受けることができず授業料の全額を負担することになります。
5.『住民税所得割額』は寄附金控除で減額することができる
所得税では税金計算上の所得(課税所得)を算出する際に控除(差し引き)できる控除項目が沢山あります。
その中に『寄附金控除』というものがあります。
『住民税所得割額』では計算された税額から寄附金額を控除することにより税金を減額しています。
ここで『控除』とか『課税所得』という言葉を聞いて気が遠くなりかけた方は用語解説をした以下の記事をご覧になって気を落ち着かせてみて下さい。
6. ふるさと納税は寄附金控除で住民税所得割額を調整している
『ふるさと納税』とはふるさとに納税をしている訳ではありません。
実際には、好きな自治体に『寄付』をしていることになります。
その寄附金額に応じて「本来納税すべき市町村や都道府県」への納税額を減額して寄付金が納税先の変更をしているようにする仕組みなのです。
ふるさと納税の仕組みを理解したい方には以下の記事をご用意しております。
7. ふるさと納税の覚えておきたい2つのポイント
このふるさと納税の仕組みを利用して『高等学校等就学支援金』制度における所得制限をコントロールするには2つのポイントがあります。
7-1. 〔ポイント1〕減額できる額は「寄附金額-2千円」
所得制限の基準となる『住民税所得割額』を減額できるのは「寄附金額-2千円」である点です。
寄付した金額よりも2千円だけ少ない額となります。
7-2.〔ポイント2〕寄附金で減額できる税額には限度額がある
寄附金によって住民税が減額できる金額には限度額があります。
寄付したら、いくらでも減額できるわけではありません。
この限度額は収入や家族構成などによって人それぞれ異なります。
限度額のシミュレーションをしておく必要があります。
このブログでは簡単にシミュレーション可能な記事もご用意しております。
当記事の最後にまとめておきますので是非そちらもご確認下さい。
8. 何故、ふるさと納税を年末までに行う必要があるのか?
ここまで制度の概要やふるさと納税との関連をご説明してきました。
では何故ふるさと納税を年末までに行う必要があるのでしょうか?
8-1. ふるさと納税を年末までに行う理由
高校入学年度の『高等学校等就学支援金』の所得制限の判定基準である『住民税所得割額』は前年の収入を基準にしています。
従って、この支援金の所得制限の基準である住民税の計算に「ふるさと納税」の金額を反映させるには、高校入学の年の前年に済ませておく必要があるからです。
住民税の計算単位は暦年を採用しているため、「前年までに」ということは「12月末までに」ということになります。
8-2. 年末まで待たなければならない理由
『住民税所得割額』は年収で決まります。
従って年の初めではその年の年収がいくらかがはっきりしないので以下の様な項目についてはっきり分からないからです。
- 所得制限に該当するのか?
- ふるさと納税で減額すべき金額はいくらなのか?
- ふるさと納税で減額できる上限はいくらなのか?
年俸制で年初に年収の額がほぼ確定しているような方は別として一般のサラリーマンの方は年収の目途がたち各種数値を推測のしやすい11月くらいがふるさと納税を視野に入れた行動に移す時期かと思います。
9. 余裕を持って済ませておきたいふるさと納税
ふるさと納税はほとんどがネット上のポータルサイトで申込みができます。
ポータルサイトはクレジットカード決済も可能なところもあります。
12月31日ギリギリの駆け込みの寄付も可能です。
そうは言っても返礼品などで人気の自治体ではふるさと納税を申し込んでから実際に寄付が成立するまでに時間を要する場合があります。
そのため、いくら確定した数値に基づいて行う必要があるとは言え、あまり年末の押し詰まった時期の申し込みは避けたいところです。
是非ふるさと納税のポータルサイトで申込み時期のリミット等を検討しておきましょう。
10. これらの情報を踏まえて実践する「ふるさと納税」
今回お伝えしたかった内容は以上ですが今回の記事でお伝えできなかった重要な項目があります。
それはまだ年収が確定していない高校入学前年の年収やその他のデータから所得制限に該当するのかどうかの判定方法やふるさと納税すべき金額の判定方法です。
その確認プロセスを順を追ってご説明した記事をご用意しました。
是非コチラの記事も併せてご確認下さい。
上記の記事で手順を追った上で実際に計算が簡単にできるようにエクセルのシミュレーションテンプレートを作成しました。
下記の記事でこのテンプレートをダウンロードしてどなたでもご利用できますのでご活用下さい。
既に源泉徴収票があれば簡単に正確な住民税額を計算できるテンプレートもあります。
まさに「転記するだけ」の簡単シミュレーションです。
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