2019年(平成31年)版!我が家は高校授業料無償化を受けられる?高等学校就学支援金の所得制限ボーダーライン

高校の授業料無償化は受けられるのか?

授業料の補助が受けられる「高等学校就学支援金」の詳細についてお伝えします。

特にこの支援金には所得制限が設けられています。

所得制限ボーダーライン上にあると思われる世帯の方は注目です!

1. 所得制限を『何で』線引きするのか?

所得制限は、所得の多寡で行うわけですが、その判定基準は何かと言えば…

『市町村民税所得割額と都道府県民税所得割額の合算額』で判定します。

この『市町村民税所得割額と都道府県民税所得割額の合算額』が50万7,000円未満の世帯の生徒に対して支援が行われます。

以下のボックスはご興味がある方向けの内容です。

先を急ぎたい方は読み飛ばして下さい。

所得制限を「税額」で判定する意味

「所得割額」という税金は一言でいえば、「所得」に比例した税金です。所得制限の基準を「税額」としていても、「所得」に比例した「税額」で判定すれば、所得を判定したことになります。
なぜ、回りくどく税額という基準で判定したのかについて、私は分かりやすさを優先したのではないかと推測しています。「所得」という税務の専門用語は税額計算上計算過程が複雑で沢山あります。そのため「所得」といっても「どの所得を指しているのか?」はとても分かりにくい側面があります。その不明瞭さを回避するために計算の最終結果である「税額」を用いたのではないかと想像しています。⇒ 図解で一目瞭然!サラリーマンにとっての「所得」の違い〔給与所得〕〔合計所得金額〕〔総所得金額〕〔総所得金額等〕〔課税所得〕
「所得」は「収入」ではないことに注意

「所得割額」という言葉の通り、各種補助金の適用基準には「所得基準」が設定されています。「収入基準」ではありません。例えば自営業者は収入が同じでも事業が赤字経営なのか優良な事業運営なのかによって「所得」は大きく異なってきます。またサラリーマンであっても所得はその人の状況によって収入だけでは決まりません。例えば同じ企業に勤務して同じ給料をもらっている社員であっても家族構成、配偶者の就業状況等によって「所得」は異なります。補助金の適用基準に収入ではなく「所得基準」が用いられているのは「可処分収入(使えるお金)」に着目しているため、と言えるでしょう。
東京都における住民税の特殊性について

行政が発信する文書などを確認すると「都道府県民税」ではなく「道府県民税」と記載しています。「なぜ、都が抜けているの?」と疑問に思われる東京都民の方もいらっしゃるかもしれません。これは23区が行政上の特別区として通常の市町村と異なる特別な扱いがあることから住民税の徴収方法が異なることに関係しています。細かい説明はここでは省きますが、本記事の論点である判定基準を考える時には特に気にせず、「市町村民税と都民税の所得割額を合算した金額で所得判定をしている」とご理解下さい。

2.『世帯』に合算すべき人とは?

『親権者』を合算します。

両親が基本です。

親権者ではない祖父母の収入があったとしても、祖父母の税額は判定基準額には算入されません。

逆に、両親がいないなどの理由により親権者が祖父母であれば判定対象になることになります。

両親が離婚している場合には、親権者の税額が判断基準となります。

仮に『親権者ではない側』の親が実際に修学費用や養育費を負担していたとしても、原則は親権者となっている親の税額が判断基準となります。

但し、親権者が修学に要する費用の負担を求めることが困難であると認められた場合には、その親権者はこの制度では保護者とはならず、その生徒の修学費用の負担することとなる人の税額で判定することになるので、結果的に親権者ではない側の親の税額で判断することもあり得ます。

もちろん、費用負担を祖父母が担っていれば、祖父母の税額により判断されることになりますので、『親権者ではない側』の親の税額は無関係となります。

ちなみに学費を自力で稼ぐような生徒の場合には、生徒本人の税額で判断することになります。

こちらのフローチャートで確認してみて下さい。

就学支援金の支給額の判断基準 ※画像をクリックすると拡大して見られます

3.『市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額』って何?

ここからは判定基準になっている『市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額』について詳細をお伝えします。

ただ、その前にまず住民税について詳しくご存じない方のために住民税の簡単なあらましをご紹介します。

3-1. そもそも『住民税』とはどうなっているの?

所得税は、サラリーマンなら『源泉徴収票』、確定申告をしている人なら『確定申告書』を見ればすぐわかりますが、『住民税所得割額』はこれらではわかりません。(計算することは可能ですが…)

では何を見れば良いかというと…

サラリーマンなら『特別徴収税額の決定通知書』を見ればわかります。

正確には

『平成〇〇年度 給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書』

と言います。

サラリーマンは、月々の給料から『源泉所得税』として天引きされる所得税のほかに、住民税を天引きされているのはご存知かと思います。

所得税の場合は天引きのことを『源泉徴収』と呼びますが、住民税の場合は天引きのことを『特別徴収』と呼びます。

住民税の特別徴収と普通徴収

所得税における「源泉徴収」にあたる「普通徴収」に対して、給与天引きせずに自分で納める住民税の納付方法を『普通徴収』と呼びます。サラリーマンは『特別徴収』が原則なので「どっちが普通なんだ?」という感じで違和感がありますが、『特別徴収』が天引きのことを指します。

さて、上記の『通知書』は、毎年6月の給料の支給時に会社から給料明細とともに渡されるのが一般的です。

所得税は当年の年収が確定するまでの間、『暫定的な』税額を月々天引きされることにより前払いして、年末調整で確定させる仕組みです。

これに対して住民税は、前年の年収に基づいて計算された『確定税額』を翌年6月から12ケ月かけて分割納付する『後払い』制を採用しています。

このため、毎年5月が前々年の税額の最後(12回目)の支払いとなり6月から前年の税額の12回の分割払いが開始されます。

ですから、現在が平成30年(2018年)であれば確定税額は平成29年(2017年)の1月~12月の収入に基づいて計算された税額です。

この住民税の年税額は、毎月の給与明細の住民税の欄の「平成30年6月分×1ヶ月+平成30年7月分×11ヶ月」を計算すれば算出できます。

住民税は年税額を単純に12分割して100円未満の端数は最初の月にまとめて徴収するので6月だけ他の月よりちょっと多く徴収され、残りの11ヶ月は毎月同じ額だけ徴収されます。

ですが…

高校就学支援金の対象者の判定基準は、『住民税額』ではなく『市町村民税所得割額・道府県民税所得割額の合算額』です。

3-2. そして本題の『市町村民税所得割額・道府県民税所得割額の合算額』とは?

住民税は、以下の4つで構成されています。

  1. 市町村民税 所得割額
  2. 市町村民税 均等割額
  3. 都道府県民税 所得割額
  4. 都道府県民税 均等割額

まず『所得割』と『均等割』の違いです。

『所得割』は課税所得に税率を掛け算して算出する『所得の多寡に応じた税額』で、『均等割』は一定所得以上あればみんな『一律に徴収される税額』です。

市町村民税と都道府県民税は徴収するところ(納める自治体)が異なるわけですが、市町村民税が課税所得に対して税率6%、都道府県民税が税率4%で住民税所得割は合計で10%です。

3-3.『市町村民税所得割額と都道府県民税所得割額の合算額』の調べ方と判定方法

さて、長々説明してきましたが、高校就学支援金制度では『直近』の『市町村民税所得割額と都道府県民税所得割額の合算額』で判定しますので以下の『住民税特別徴収額決定通知書』を確認するのが早道です。

住民税特別徴収額決定通知書

下に示した部分が大事になります。

赤線で囲った部分です。

この2つを合算して計算します。

この通知書は市町村単位で発行されますので、多少様式が異なるかもしれません。

例えば、下の画像は東京都北区のものです。

『税額』欄の『所得割額』の欄を探すことは簡単にできるかと思います。

この2つの『所得割額』の合計額が50万7,000円未満であれば、この高等学校就学支援金制度の適用があります。

専業主婦世帯の様に親権者の収入が1人だけなら、1人分で確定しますが共働き家庭なら夫婦それぞれの金額を合算することになります。

また、不動産収入や金融資産からの収入、アフィリエイトの様な雑所得があったりして、それらの所得にかかる住民税を『普通徴収』扱いにしている場合にはそれも合算することをお忘れなく!

『普通徴収』分の通知書は会社経由ではなく市町村から直接郵送などで送られてきますのでそちらを参照します。

自営業や自由業の様なサラリーマン以外の方も直接送られてきますのでそちらを参照して下さい。

当サイトでは市町村民税所得割額及び都道府県民税所得割額を計算できるエクセルテンプレートを配布しています。是非ご活用下さい。

4. 住民税の通知書を紛失してしまったら…

これらの通知書を無くしてしまう、ってことは良くあることですね。

サラリーマンの方なら会社に控えが保存されていますから、見せてもらうと良いと思います。

給与計算をしている部署か経理部門に問い合わせすると良いでしょう。

サラリーマン以外の方や『普通徴収』分を紛失してしまった場合には、市町村の窓口で発行される『課税証明書』を入手して確認することができます。

課税証明書  ※クリックすると拡大できます

出典:文部科学省公式サイト 高校生等への修学支援

5. 制度の支援内容は?

この制度は、所得制限がかけられ支援を受けられないという形で対象者を限定する一方で、支援内容は拡充の方向にあります。

[公立高校の支援金]

  • 全日制:月額 9,900円
  • 定時制:月額 2,700円
  • 通信制:月額 520円
[私立高校の支援金]

  • 全日制:月額 9,900円
  • 定時制:月額 9,900円
  • 通信制:月額 9,900円

高校以外にも支給対象となる学校はあります。

下記の表に詳しく記載されていますので、ご参考にしてみて下さい。

尚、私立高校の支援金は更に所得により加算金の支給が受けられます。

『市町村民税所得割額』の金額に応じて上記の金額に1.5~2.5倍にした額が支給されることになります。

『市町村民税・都道府県民税所得割額合計』別に以下の通りとなります。

  1. 〔非課税世帯〕
      2.5倍
  2. 〔85,500円未満世帯〕
      2.0倍
  3. 〔257,200円未満世帯〕
      1.5倍

詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

具体的な金額が確認できます。

6. 支援金は誰が受け取るの?

支援金は学校設置者(都立高校なら東京都、私立なら学校法人など)が、生徒本人に代わり受け取るものです。

生徒本人や保護者が直接受け取るようなものではありません。

学校によっては、一旦授業料全額を徴収し、後日、就学支援金相当額を還付する場合もあるようです。

7. 支援金はいつまで支給されるの?

原則として全日制で36ヶ月間、定時制・通信制で48ヶ月支給されます。

何らかの理由で留年などすると就学期間全般をカバーしきれないケースも出てきます。

休学の場合は、何もしないと授業料がゼロ円でも支給期間を経過したとみなされます。

それを防ぐためには支給停止の申し出をする必要があります。

8. 家計急変への対応

前述した通り、住民税額は、前々年の所得により確定することから、家計が急変して就学費用負担ができないケースに対応できないことを避けるために、その対応をしてもらえるケースがあるようです。

学校によってその対応が異なるようですので、学校への確認をしてみることが必要となります。

9. 授業料減免や奨学金との併用は?

授業料減免などの措置がある場合には減免後の授業料に対して就学支援金が充当できますが、手元にお金が戻ってくる、ということはありません。

奨学金はこの支援金制度に影響しません。奨学金をもらっていても支援金が減額されることはありません。

10.「ふるさと納税」で所得制限がクリアできるケースがあるかも

ボーダーラインすれすれで所得制限に引っかかってしまう世帯は「ふるさと納税」を賢く利用するのも一考です。

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この記事は2018年11月18日現在の法律等に基づいて書かれていますが、詳細は入学する高等学校や税務署、税理士などの専門家へご確認の上、ご判断をお願いします。
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