エクセルで手軽に判定!ふるさと納税で高等学校等就学支援金の所得制限回避の全手順を公開!

投稿日:2016-12-17 更新日:

高校の授業料が無償となる高等学校等就学支援金ですが、この制度には所得制限があります。

その所得制限の基準は「市町村民税所得割額」です。

今回はボーダーライン上にあるサラリーマンの方が所得制限の判定ができるエクセルのテンプレートをご用意しました。

更に「ふるさと納税」制度を活用して「市町村民税所得割額」を減額する方法もご紹介します。

「ふるさと納税」が2千円の支出で済む上限金額を自動計算する機能も追加しています。

これらのツールを使って所得制限回避のために「ふるさと納税」を有効活用できるように全手順をご紹介致します。

お子さんの高校入学を控えたサラリーマン家庭の方は是非ご活用ください。

  1. 当シートは2016年(平成28年)の所得を対象にした計算を行うものです。
  2. 当シートは収入が給与収入に限定された方(給与所得のみのサラリーマン)を対象にしています。他の所得がある方にはご利用できません。
  3. 当シートは確定申告を要さない方を対象にしています。以下に例示される方は計算対象外です。
    ≪対象外の例≫複数の企業から給与収入がある方/各種税額控除(医療費控除・住宅ローン控除・雑損控除等)を受けるため確定申告を予定・した方
  4. 当シートは1年を通じて同一の企業から給与収入を得ていたサラリーマンの方を対象にしています。年の中途での入社・退社している方は対象外としています。
  5. 所得控除の該当・非該当判定等には詳細な基準が設けられています。簡単な基準については当シート及び提供サイトにてご紹介していますが、各項目について実際にはレアケースの条件付き等もございますので必ず国税庁公式サイト等でその内容についてご自身で内容の確認をお願いします。
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1. 所得制限の判定と「ふるさと納税」活用の手順

高等学校等就学支援金の所得制限に該当するかどうかの判定と「ふるさと納税」を活用できる金額の上限を算定するには以下の様な手順で進めていきます。

  1. 年末調整計算を行い所得税を確定する
  2. 所得税計算を利用して「市町村民税所得割額」を自動計算する
  3. 就学支援金の所得制限に該当するかどうかを判定する
  4. 「ふるさと納税」で「市町村民税所得割額」の減額可能限度額を計算する
  5. 所得制限ボーダーラインと試算した「市町村民税所得割額」の差が減額可能限度額範囲内かどうかを確認する
  6. 実際に「ふるさと納税」をする金額を決定して再度「市町村民税所得割額」をシミュレーションする
  7. 「ふるさと納税」をワンストップ納税で行うか確定申告をするかを決定する

尚、所得制限に非該当の場合には上記の4.以降の作業は不要です。

また5.でボーダーラインとご自分(ご自分の家計の合計)の「市町村民税所得割額」の差が減額可能限度額範囲を超えている様ですと「ふるさと納税」をしても減額分が不足してしまいます。

これらの場合には「ふるさと納税できる正確な上限金額が分かったので折角だから『ふるさと納税』でもしてみるか」と考えてみてはいかがでしょうか?

2. 年末調整計算を行い所得税を確定する

年末調整は慣れないと面倒ですが、給与明細があればなんとかできるようにエクセルのテンプレートをご用意しています。

このシートは給与明細の年間集計から「市町村民税所得割額」、「ふるさと納税」の上限金額まで一連の計算がまとめてできるように設計されています。

是非諦めず最後までやりきって頂きたいと思います。

最大のポイントは「所得税の計算」をすることにあります。

このシートの利用方法は以下の記事に詳細に記載しております。

上記の記事ではシミュレーションシートの実際の計算例も掲載しておりますので、入力例や計算結果を確認しながら順を追って理解できるようになっています。

3. 「市町村民税所得割額」を計算する

「市町村民税所得割額」は住民税(市町村民税と都道府県民税)の税率を入力するだけで自動計算できます。

3-1. 住民税所得割の税率の基本は「市町村民税:6%」「都道府県民税:4%」

住民税所得割の税率は一律ではありません。

市町村や都道府県によって上乗せすることを条例で定めることができます。

従いましてご自分の住民税を計算する場合には必ず居住地の(住民票のある)自治体の税率を確認する必要があります。

大抵はお住まいの自治体の公式サイトの「個人の住民税」等のコーナーで確認できるかと思います。

例えば上記のエクセルの計算例は実は川崎市の事例を参考にしています。

都道府県民税、つまり神奈川県民税の所得割の税率は4%ではなく4.025%です。

4. 就学支援金の所得制限に該当するかどうかを判定する

就学支援金の所得制限の基準となる「市町村民税所得割額」が計算できました。

計算例では「122,400円」となっています。

そして実際のボーダーラインは「市町村民税所得割額」=「304,200円」です。

計算例でしたら「122,400円」<「304,200円」ですから所得制限に該当しないことがわかります。

4-1. 所得と所得税と住民税と判定対象がいつなのか?

上の図は所得税、住民税、就学支援金の所得制限判定、高校入学の関係を表わしています。

図を見ただけだとちょっと分かりにくいので補足でご説明します。

4-1-1. 計算の基礎

まず所得税も住民税(所得割)も年間の収入が計算の基礎となります。

2016年の1年間の収入を計算対象とします。

4-1-2. 所得税の確定と納税

所得税は年末調整により年間の所得計算をします。

これとは別に月々の給与から天引きされる「源泉徴収」があります。

年間の所得税がいくらになるかは年間の収入が確定しないと計算できません。

従いまして月々の源泉徴収税額は「概算」により徴収しています。

これを12月の年間最後の給与又は賞与の額が確定した時点で年間収入が確定し年間の所得税も確定します。

そして源泉徴収の累計額と比較して確定した年間所得税の方が少なければ還付金として源泉徴収で「過徴収」となった分だけ返金します。

2016年の所得税は2016年12月に確定し納税も完了します。

4-1-3. 住民税の確定と納税

住民税は所得税と計算のタイミングも納税のタイミングも異なります。

2016年1年間の収入に対する税金は翌年の5月に確定します。

そして年間の税額を12等分して2017年の6月から2018年5月までの1年間で納税します。

所得税の源泉徴収と同様に「給与天引き」して納税しますが、源泉徴収と異なり、「概算」ではなく「確定」した金額を徴収しています。

従って年末調整の様な「徴収税額の精算」手続きは不要です。

4-1-4. 就学支援金の所得制限の判定対象

2017年の4月に入学した高校1年生の授業料の補助に対する所得制限の判定は「2016年の収入に基づいて計算された住民税」によって行います。

判定基準は先述の通り、住民税のうち「市町村民税所得割額」で判定されます。

参考までに住民税の内訳は以下の通りとなっています。

  1. 市町村民税所得割
    所得に税率(原則6%)を掛け算して算出
  2. 都道府県民税所得割
    所得に税率(原則4%)を掛け算して算出
  3. 市町村民税均等割
    所得に無関係に一律(原則3,500円)
  4. 都道府県民税均等割
    所得に無関係に一律(原則1,500円)

4-1-5. 住民税の実際の計算手続き

住民税の計算は年末調整後に会社から従業員の住民票がある市町村に提出される「給与支払い報告書」によて確定する仕組みになっています。

「給与支払い報告書」とは皆さんが年末調整後に会社から受け取る「源泉徴収票」と同じものです。

市役所ではこの「給与支払い報告」による報告データに基づいて住民税独自の計算を行い税額を確定しています。

従って2017年6月以降納める住民税は2016年12月に行われる年末調整によって確定することになります。

但し年末調整後に確定申告する場合には確定申告後のデータに基づいて計算されます。

年末調整後に確定申告する例としては「医療費控除」等年末調整では計算してもらえない計算項目がある場合です。

そして「ふるさと納税」は「寄附金控除」という仕組みを利用した制度ですので、原則としてこの「年末調整後」に「確定申告をして」所得税が確定るパターンとなります。

4-2. 2017年入学の高校1年生は2016年の年末調整で確定する

どのタイミングの所得により計算された市町村民税所得割額で所得制限の判定を行うかはこれまでの説明の通りです。

2017年4月入学の高校1年生の就学支援金の所得制限の判定は、確定申告を行う必要が無い人にとっては2016年の年末調整の結果により確定します。

4-3. 「ふるさと納税」は高校入学前年の12月31日までに行う必要がある

「ふるさと納税」は寄附金控除という仕組みを利用しており、上図の「計算」と書いてあるところで反映します。

寄附金控除の対象は2016年の所得に基づく住民税なら2016年1月1日から2016年12月31日に寄附をした(ふるさと納税をした)ものが計算に反映されます。

このため高校1年生の授業料に関する所得制限の判定に反映したい場合には入学前の年に「ふるさと納税」を済ませておく必要があります。

従ってこれらにまつわる各種シミュレーションを「ふるさと納税」を年内に済ませられるようにしておくことが必須となるのです。

5. 「ふるさと納税」で「市町村民税所得割額」の減額可能限度額を計算する

「ふるさと納税」は前述の通り、所得税計算及び住民税の計算において「寄附金控除」という仕組みを使って税金を減額する制度です。

所得税の場合は「所得を減額する」所得控除という方法で、住民税(所得割)の場合は「税額を直接減額する」税額控除という方法で減額を実現します。

エクセルでは「ふるさと納税シミュレーションシート」にて自動的に上限額が計算されます。

ここからは計算例として高等学校等就学支援金の所得制限に該当するケースで計算例を見ていきたいと思います。

以下のデータをダウンロードしてみて下さい。

上記のシートで「市町村民税所得割額」は「323,760円」、ふるさと納税の上限額は「157,102円」となっています。

〔所得制限の判定〕

「市町村民税所得割額」: 323,760円 > 304,200円(ボーダーライン)

所得制限に該当しています。

6. 「ふるさと納税」で減額調整すると所得制限が回避できるかどうを判定する

所得制限に該当してしまうことが判明した場合、「ふるさと納税」をすることによってそれが回避できる金額なのかどうかを判定します。

『「自身の市町村民税」- 304,200円 』<『「ふるさと納税」上限時の「市町村民税所得割額」』

注意が必要なのが判定金額は「ふるさと納税」の上限金額そのものではないということです。

6-1. 市町村民税のボーダーラインとの差額を算出

ボーダーラインである「市町村民税所得割額:304,200円」とシミュレーションにより算出されたご自分の「市町村民税所得割額」との差額を計算します。

〔所得制限回避のために必要な減額幅〕

323,760円 - 304,200円 = 19,560円

「19,560円」だけ減額すれば所得制限を回避できるのがわかります。

6-2. 「ふるさと納税」が所得制限に有効かどうかの判定

ボーダーラインである「市町村民税所得割額:304,200円」とシミュレーションにより算出されたご自分の「市町村民税所得割額」との差額が「ふるさと納税」の上限金額の範囲内で減額できる「市町村民税所得割額」以内であれば回避策が有効となると判定できます。

「ふるさと納税」の上限額157,102円以内の金額を「ふるさと納税シミュレーションシート」の「ふるさと納税額」に入力すると、「ふるさと納税後の市町村民税所得割額」と「ふるさと納税による市町村民税所得割額の減額金額」が自動計算されます。

ダウンロードしたエクセルデータには150,000円が入力されています。

計算結果は2通り出力されます。

「原則的な方法(確定申告をする方法)」と「ワンストップ特例を利用した方法」により計算結果が異なるからです。

この2つの計算が存在することに関しては以下の記事に詳しくご紹介していますのでご参考にして下さい。

150,000円をした場合の「ふるさと納税後の市町村民税所得割額」と「ふるさと納税による市町村民税所得割額の減額金額」は以下の通りです。

ふるさと納税後の市町村民税所得割額
(ふるさと納税額:150,000円)
適用する方式 所得割額 減額された金額
原則的な方法(確定申告をする方法) 253,092円 70,668円
ワンストップ特例を利用した方法 234,960円 88,800円

いずれの方法によっても所得制限のボーダーラインを下回る結果となっています。

ワンストップ特例制度は全てを住民税から税金を減額する方式なので減額幅が大きくなっています。

これで「ふるさと納税」が所得制限回避に有効であることが確認できました。

6-2-1. 「ふるさと納税」が有効ではないケース

「ふるさと納税」欄に上限金額である157,102円を入力しても減額幅が届かずどちらの方式を採用しても所得制限ボーダーラインの304,200円を下回らない場合は「ふるさと納税」では所得制限を回避することができません。

7. 実際に「ふるさと納税」をする金額を決定して再度シミュレーション

「ふるさと納税」によって所得税や住民税が減額され実質負担額は2千円になりますが、減額されるのは所得税の還付であったり将来納税する予定の住民税の納税額が減額されるため一時的には「ふるさと納税」する金額を負担しなければなりません。

従いまして手持ちの資金との相談もする必要があります。

上限額いっぱいに「ふるさと納税」する必要が無い方は実際に「ふるさと納税」する金額を決めます。

そしてもう一度シミュレーションシートの「ふるさと納税」欄にその金額を入力して所得制限のボーダーラインを下回るかどうかを確認します。

先ほどの計算例で確認してみましょう。

例えば上図の様に5万円にするとどうでしょうか?

ふるさと納税後の市町村民税所得割額
(ふるさと納税額:50,000円)
適用する方式 所得割額 減額された金額
原則的な方法(確定申告をする方法) 300,840円 22,920円
ワンストップ特例を利用した方法 294,960円 28,800円

いずれの方法によっても所得制限のボーダーラインを下回る結果となっています。

これで「ふるさと納税」を5万円にした場合でも所得制限回避に有効であることが確認できました。

8. 確定申告を行うかワンストップ特例を利用するかを決定する

最後に「ふるさと納税」を行う時に方式を決定します。

確定申告を行うケースとワンストップ特例にするケースでは手続きの方法も「市町村民税所得割」から控除される方式も異なります。

特に上記のシミュレーションで「ワンストップ特例では所得制限を回避できるけど確定申告方式だと回避できない」という結果になった場合には「自分がワンストップ特例の適用要件を満たしているか」を必ず確認しておく必要があります。

実際にふるさと納税する際にも手続き方法が異なりますので慎重に手続きをしましょう。

更に仮に手続きをきちんと済ましても確定申告を行ってしまうと自動的にワンストップ特例の手続きが解除されたとみなされます。

医療費控除、初年度の住宅ローン控除などの適用を受けるために確定申告が必要な方はその点もお忘れなく。

それでは実際にふるさと納税をしてみましょう。

ほとんどの自治体がポータルサイトに登録されておりサイトで手続きが完了できます。

カード決済なら12月31日まで手続き可能な自治体も豊富です。

中にはキャンペーンをやっている期間もあってお得かもしれません。

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-マネー


  1. Naga. より:

    本当に丁寧でわかりやすく、ようやく色々な疑問が解消致しました。耳慣れない用語も多かったのですが全て簡潔に解説して下さり、躓くことなく理解出来ました。ありがとうございました。

    • Haru より:

      Naga.様
      コメントありがとうございます
      お役に立てて嬉しいです

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