「ふるさと納税はいくらまで寄附できる?」をシミュレーションしてみた サラリーマン用無料エクセルテンプレートで便利に計算

投稿日:2016-12-12 更新日:

ふるさと納税は2千円を差し引いた全額を税金が減額できて返礼品がゲットできるので、とてもお得な制度です。

でも「2千円を差し引いた寄附金額」が全額税金から減額できるのには限度額があります。

今回はサラリーマンにとって、より便利に使い勝手が良くなった「ワンストップ特例」制度を適用した場合も含めてふるさと納税の上限金額について具体的な数値を使ってシミュレーションしたデータに基づいて解説していきたいと思います。

  1. 当シートは2016年(平成28年)の所得を対象にした計算を行うものです。
  2. 当シートは収入が給与収入に限定された方(給与所得のみのサラリーマン)を対象にしています。他の所得がある方にはご利用できません。
  3. 当シートは確定申告を要さない方を対象にしています。以下に例示される方は計算対象外です。
     ≪対象外の例≫複数の企業から給与収入がある方/各種税額控除(医療費控除・住宅ローン控除・雑損控除等)を受けるため確定申告を予定・した方
  4. 当シートは1年を通じて同一の企業から給与収入を得ていたサラリーマンの方を対象にしています。年の中途での入社・退社している方は対象外としています。
  5. 所得控除の該当・非該当判定等には詳細な基準が設けられています。簡単な基準については当シート及び提供サイトにてご紹介していますが、各項目について実際にはレアケースの条件付き等もございますので必ず国税庁公式サイト等でその内容についてご自身で内容の確認をお願いします。
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1. ふるさと納税の税金の控除の仕組み

2千円を差し引いた全額が税金から控除されて返礼品をもらえる制度としてはそんなに難しい話ではないのですが、その裏側で動いている仕組みは意外に複雑にできているのが「ふるさと納税」制度です。

少額を寄附する場合にはあまり気にしなくても良いかもしれませんが、可能な限り沢山の寄附をしたいという方には自分がいくらまで寄附をしても上限金額に達せずお得感を享受できるのかはきちんと把握しておく必要があります。

そのためには基本的な仕組みや手続きについて知る必要があります。

「ふるさと納税」は節税ができる制度ではなく、支払った寄附金を税金でほぼ全額(2千円を除いた)が戻ってくるので、「一定金額までなら大きな金銭的な負担をしないでできる自治体への寄附金」という制度です。

「ふるさと納税」を扱うポータルサイトは仕組みから手続きの方法までトータルでサポートしてくれるので便利です。

しかも全国の自治体と提携してるので返礼品の情報から手続きまで簡単に済ますことができます。



2. ふるさと納税をお得に利用するために必要な「上限金額」

「ふるさと納税」には税金の優遇を受けられる「寄附金額の上限」が設けられています。

その上限金額はふるさと納税をする人によって異なります。

収入や家族構成、各種保険の加入状況等によって違います。

その上限金額を知るには税金の計算をする必要があります。

必要な数値は『所得』であったり『所得控除』だったり『住民税所得割』だったりします。

普段税金の計算に疎いサラリーマンに追ってはとてもややこしい話です。

今回は「ふるさと納税」をしようとしているサラリーマンの方が

「いったいいくらまでなら金銭的負担を2千円に抑えて寄附ができるのか?」

を計算するためシミュレーション用エクセルテンプレートをご紹介しながら具体例で解説したいと思います。

3. 2種類ある「ふるさと納税」の手続きと税金計算

「ふるさと納税」の手続きには2種類の方法があります。

「確定申告をする方法」と「ワンストップ特例」です。

「ワンストップ特例」はサラリーマンが一定の要件に該当する場合に限り適用できる「特例」で、原則は「確定申告をする方法」です。

この辺の詳しい内容については以下の記事をご参照下さい。

4. 具体的な数値で「ふるさと納税」の上限金額を算定してみる

それでは具体的な数値で確認してみましょう。

エクセルで所得税や住民税をシミュレーションできるエクセルテンプレートをご用意しました。

このシートは以下の様に構成されています。

  1. 「給与台帳シート」
    年間の給与データを月別で入力することにより給与所得の計算の基礎データを作成します。
  2. 「所得税計算シート」
    所得税計算に必要な控除項目を入力することにより年間所得税額を計算します。
  3. 「住民税計算シート」
    「所得税計算シート」から転記して税率を入力することにより「住民税」を計算します。
  4. 「ふるさと納税シミュレーションシート」
    「ふるさと納税」で税金の控除額が「寄附金-2千円」となる寄附金額の上限を算定します。
    また上限以内で想定する寄附金の額に応じた税金計算も行います。

  5. 「保険料算定シート」
    所得税計算にあたって各種「所得控除」計算を行う際に各種保険料を入力すると保険料控除が自動計算できるシートです。

白いセルが入力項目になっています。

それ以外のセルは自動計算されます。

このシートを使いながら具体例により解説していきたいと思います。

〔前提条件〕

  • 給与収入金額:500万円
  • 給与所得金額:346万円
  • 社会保険料支払額:70万円
  • 新生命保険料支払額:100,000円/旧生命保険料支払額:100,000円
  • 扶養親族:子(給与太郎)18歳(収入無し)
  • ふるさと納税額:5万円

4-1. ステップ1:「給与台帳シート」の入力

まずは年間給与・賞与の合計額を確定させます。

給与明細から集計する場合には「給与台帳シート」に月別の給与・賞与データを転記していきます。

もし既に年間収入の集計値が分かっている場合には「給与台帳シート」の入力は省略して「ステップ2」に進みます。

今回は「給与台帳シート」の入力は省略します

4-2. ステップ2:「所得税計算シート」の入力

4-2-1. 「給与所得」の入力

「所得税計算シート」の「給与所得」欄に入力します。

「給与所得」は以下の算式で求めます。

  • 「給与収入合計」-「給与所得控除」=「給与所得」

そして上記の『給与所得控除』は以下の表に当てはめて計算します。

平成28年分の給与所得控除
給与等の収入金額 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 12,000,000円以下 収入金額×5%+1,700,000円
12,000,000円超 2,300,000円(上限)

しかしながら課税支給額が660万円未満の場合には上記の計算式を使用せず、『年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表』なる表に当てはめて課税支給額から直接『給与所得』を拾い出します。

課税支給額が660万円未満の場合には下のリンクをクリックするとこの表のPDFがダウンロードできますので当てはめてみて下さい。

給与所得:3,460,000円を入力

4-2-2. 「社会保険料控除」の入力

「給与台帳シート」の入力をすると月々の給与や賞与から天引きされた社会保険料の年間累計額を自動的に転記します。

今回は「給与台帳シート」の入力を省略しましたので「所得税計算シート」で直接入力します。

給与台帳以外の社会保険料1:700,000円(前提条件より)を入力

4-2-3. 「生命保険料控除」の入力

生命保険料や個人年金保険料の支払保険料を入力して自動計算させます。

尚、この「所得税計算シート」で入力した保険料を参照していますので「保険料算定シート」の入力項目はありません。

新生命保険:100,000円/旧生命保険:100,000円(前提条件より)を入力

4-2-4. 「扶養控除」の入力

「扶養控除1」~「扶養控除1」の欄に入力します。

扶養控除が受けられる親族は1名のみです。

右側の欄は確認用です。

内容を確認して所得税の扶養控除の金額を調べて直接入力します。(自動計算はしません)

扶養控除の算定は以下を参照して下さい。

扶養控除1:380,000円を入力

4-2-5. 「基礎控除」は入力不要

一律の金額で所得控除が可能な「基礎控除」は入力不要です。

基礎控除:380,000円が自動的に集計される

4-2-6. 「適用税率」の入力

所得税の税率は「累進課税制」により「課税所得」の金額に応じて変動します。

また税額は

「課税所得」×「税率」

ではなく、

「課税所得」×「税率」-「控除額」

の算式で計算されます。

従ってこれまでの入力によって計算された「課税所得」の数値を参照して「税率」と「控除額」を入力します。

その際に右側の横長のセルに「該当する課税所得の範囲」を入力(リストから選択)すると適用すべき「税率」と「控除額」が表示されます。

その「税率」と「控除額」を参照して左の入力欄に入力します。

税率:「5%」を入力/控除額:「0円」を入力

4-2-7. 年税額が確定

このシートでは「税額控除」項目として「住宅ローン減税額」を入力する欄もあります。(今回は該当しないので入力していません)

そのため計算された税額は3つあります。

以下に違いを示しておきます。

  1. 「算出所得税額」
    「税額控除」を適用前の税率を掛け算した結果の税額
  2. 「年調所得税額」
    「復興特別所得税」を加算の年間所得税
  3. 「年調年税額」
    「復興特別所得税」を加算の年間所得税
年間所得税が確定:99,500円(計算結果)

4-3. ステップ3:「住民税計算シート」の入力

「住民税計算シート」は基本的に所得税と住民税の「所得控除」の違いを自動的に調整します。

入力項目は税率だけです。

尚、住民税の計算構造を知りたい方は以下の記事をご参照下さい。

4-3-1. 「適用税率」の入力

住民税の税率の基本は以下の通りです。

  • 市町村民税所得割:6%
  • 都道府県民税所得割:4%
  • 住民税所得割:10%
  • 市町村民税均等割:3,500円
  • 都道府県民税均等割:1,500円
  • 住民税均等割:5,000円

しかしながら住民税の税率は一定の幅で増減することが法律で認められており条例により超過税率として上記の税率に上乗せしていることも結構あります。

ご自分の住民税を計算する場合には必ず居住地の(住民票のある)自治体の税率を確認しましょう。

ちなみに今回の計算例は川崎市の住民税計算の計算例を参考にしていますので税率も神奈川県と川崎市の税率を適用しています。

従って超過税率が上乗せされている県民税は所得割額の税率を4.025%、均等割の税額を1,800円としています。

適用税率:市町村民税「6%」を入力/都道府県民税「4.025%」を入力
住民税均等割額:市町村民税「3,500円」を入力/都道府県民税「1,800円」を入力

4-3-2. 住民税が確定

税率を入力すると住民税が自動計算されます。

年間所得税が確定:〔住民税所得割〕204,516円(計算結果)
〔市町村民税所得割〕122,400円〔都道府県民税所得割〕82,116円

4-4. ステップ4:「ふるさと納税シミュレーションシート」で「ふるさと納税の上限額」を確認

実はここまで計算すると自動的に上限金額が計算できます。

2つの記事でご説明してきた通り、ふるさと納税の上限金額は方程式を解くことによって計算できます。

上限の「ふるさと納税額」から2千円を差し引いた額を「Y」として方程式を立ててみると…

「Y」× (100% - 10% -「所得税率」)= 税額控除(特例分)

となります。

そして「税額控除(特例分)」の上限は「住民税所得割額」×20%でした。

つまり

税額控除(特例分)<「住民税所得割額」×20%

先ほどの方程式を代入すれば

「Y」× (100% - 10% -「所得税率」)<「住民税所得割額」×20%

今回のシートの入力により上記の不等式の「変数Y」を求めるための数値「所得税率」も「住民税所得割額」も算出できています。

これらを自動転記したものは「ふるさと納税シミュレーションシート」に反映され上限金額を算出しています。

ふるさと納税上限額が確定:50,182円

5. 上限を踏まえて実際の寄附金額に応じた税金の再計算を行う

上限金額がわかったところで実際に寄附をしようと思っている金額を入力して再計算してみます。

5-1. 「ふるさと納税額」を入力

実際にしてみようと思う「ふるさと納税」による寄付金額を入力します。

今回の例ではキリの良い5万円としてみました。

尚、上限金額以上の納税額を入力すると正しく計算されませんのでご注意下さい。

ふるさと納税額:50,000円を入力

5-2. 確定申告を行う場合の「所得税の適用税率」を入力

2つの「ふるさと納税」のうち原則的な方法「確定申告を行う場合」の計算を進めます。

先ほどの所得税計算と同様に「課税所得」に応じた「所得税率」と「控除額」を入力します。

但し、所得税の計算では「寄附金控除」は「税額控除」ではなく「所得控除」であるため「寄附金控除適用後」で「課税所得」の金額が変動しています。

ですから適用される税率が稀に変更されているケースが生じます。

従ってふるさと納税による寄附をしている場合と異なるケースがあることを念頭に必ずこのシートに表示されている「課税所得」に基づいて算定します。

税率:「5%」を入力/控除額:「0円」を入力

5-3. 確定申告を行う場合の税額と税金の控除額を確認する

寄附金額と適用税率を入力すれば確定申告を行う場合(原則計算)の所得税、住民税の税額と実際の控除金額が算定できます。

所得税:97,000円(2,500円減額)/住民税所得割:164,266円(45,550円減額)/合計(48,050円減額)

5-4. 「ワンストップ特例」を適用の場合の「割合」を入力

「ワンストップ特例」適用のケースで計算される「特例分」計算用の「割合」、「申告特例控除」計算用の「割合」をそれぞれ入力します。

(「住民税の課税所得金額」-「人的控除」)の額に応じた割合を表示されるリストからそれぞれ選択します。

「特例分に適用される割合」:10%/「申告特例控除分に適用される割合」:10.21/79.79

5-5. 「ワンストップ特例」を適用の場合の税額と税金の控除額を確認する

上記の割合を入力すると後は自動的にすべて計算されます。

「ワンストップ特例」適用の場合には所得税には変動はありません。

従いまして住民税のみ確認します。

住民税所得割:161,814円(48,002円減額)

6. 無料エクセルテンプレートで上限金額のシミュレーション

これまで数値を確認して頂いてきたエクセルシートのテンプレートをご用意しました。

こちらを利用して実際に計算してみて下さい。

以上で「ふるさと納税」による寄附金の税金控除が最大値(寄附金-2千円)になる寄附金の上限金額算定とその結果の税額についてのシミュレーションの解説を終わります。

記事を最後までご覧下さりありがとうございます。
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