高等学校等就学支援金の所得制限の基準になっている『市町村民税所得割額』を算定できるエクセルのシミュレーションシートを作成しましたのでシェアしたいと思います。
また「ふるさと納税の控除限度額計算の基礎」にもなりますので是非ご活用ください。
- 当シートは2016年(平成28年)の所得を対象にした計算を行うものです。
- 当シートは収入が給与収入に限定された方(給与所得のみのサラリーマン)を対象にしています。他の所得がある方にはご利用できません。
- 当シートは確定申告を要さない方を対象にしています。以下に例示される方は計算対象外です。
≪対象外の例≫複数の企業から給与収入がある方/各種税額控除(医療費控除・住宅ローン控除・雑損控除等)を受けるため確定申告を予定・した方 - 当シートは1年を通じて同一の企業から給与収入を得ていたサラリーマンの方を対象にしています。年の中途での入社・退社している方は対象外としています。
- 所得控除の該当・非該当判定等には詳細な基準が設けられています。簡単な基準については当シート及び提供サイトにてご紹介していますが、各項目について実際にはレアケースの条件付き等もございますので必ず国税庁公式サイト等でその内容についてご自身で内容の確認をお願いします。
1. エクセルシートで『市町村民税所得割額』を自動計算
エクセルで作成した計算シートをまずはダウンロードしてみて下さい。
個人利用の方でしたらどなたでも無料でダウンロードしてご利用できますのでお気軽にしてみて下さい。
本記事にて使用方法等についてもご説明していきますので内容を確認した後にダウンロードをご希望の場合には本記事文末にもダウンロードコーナーをご用意しておりますのでそちらをご利用下さい。
2. シュミレーションの計算フロー
まずは私が今回制作したエクセルの計算シートの計算フローを簡単にご紹介します。
- 給与明細に基づいて年間の給与・賞与データを転記して給与台帳を作成する
- 年間給与・賞与の合計額(年収)から「給与所得」を算出する
- 年末調整に必要な所得控除に必要なデータを入力する
- 市町村民税所得割額算定に必要なデータを入力する
3. 「給与台帳シート」の入力
まずは給与明細をご用意して『給与台帳シート』に入力をして頂きます。
入力時の注意事項は下記の記事にまとめておりますのでご参考にして下さい。
尚、既に源泉徴収票を入手済みであるなどで年間の数値を把握済みの方は1月分などある行に1年分の数値を入力して頂ければ入力を簡略化できます。
4. 「年末調整計算シート」の入力
市町村民税所得割額の計算構造は年末調整で行っている所得税計算とほぼ同じです。
金額が微妙に異なっているだけの項目がほとんどですので比較的なじみのある「年末調整」計算をすることにより最終目的である「市町村民税所得割額」を導き出す形式を採用しています。
年末調整計算については下記の過去記事に詳細をお伝えしておりますので、お読み頂けると内容についてご理解しやすいかと思います。
4-1. 「給与所得」の算定
給与台帳の作成により算出された「年収」に基づいて給与所得を入力して頂きます。
給与所得は計算式に当てはめて計算するだけですので簡単です。
給与所得計算が分からない方は下記の記事をご参照ください。
4-2. 各種「所得控除」の算定
所得税計算で一番面倒なのが「所得控除」の算出です。
沢山の項目がある「所得控除」のうち、何が自分に関係している項目であるか、自分はいろいろな区分のどの区分に属しているのか?、どの計算式を当てはめて計算すればいいのか?といったことを判別しながら進めていかなければなりません。
しかしながら、各項目をきちんと追っていきながら丹念に潰していけばそんなに難しい事ではありません。
エクセルでは一覧にして整理しやすいようにしておりますし、ある程度自動計算できるようにエクセルの中に計算を組み込んでいますので肩の力を抜いて取り組んでみましょう。
各項目については過去記事で確認の上、入力をお願いします。
4-2-1. 社会保険料控除
社会保険料控除は原則として給与台帳に入力された各種社会保険料(健康保険料や雇用保険料等)を自動集計しています。
給与天引き以外の社会保険料がある場合には追加入力できる欄を設けていますが、通常は利用しません。
4-2-2. 生命保険料控除・地震保険料控除
各区分に従って保険料を入力すると自動的に控除額を計算します。
4-2-3. 小規模企業共済控除
小規模企業共済控除は支払った掛金全額が控除対象となり、金額の上限もありません。
そのまま入力して下さい。
4-2-4. 配偶者控除・配偶者特別控除
控除欄の右側にある年齢や配偶者の所得の入力欄は算定の基礎のためのデータを閲覧できるようにするためにあります。
控除額は自動計算されませんのでリストから選ぶ形で金額を入力して下さい。
4-2-5. 扶養控除
扶養控除も配偶者控除等と同様に右側の欄は算定の参考のための入力欄であり、控除額は自動計算されません。
控除額はリストから選ぶ形で金額を入力して下さい。
4-2-6. 障害者控除~勤労学生控除
これらも扶養控除と同様に自動計算されません。
控除額はリストから選ぶ形で金額を入力して下さい。
判定基準については国税庁の公式サイト等で確認の上金額を特定して下さい。
4-3. 適用税率と控除額
所得税は累進課税です。
つまり所得金額の大小によって適用される税率が変動します。
『適用税率』入力欄の右横にある『税率参照欄』に「適用される税率と控除額」をリストから選ぶ形で入力します。
自動計算された課税所得を参照の上、適用税率を選んで下さい。
上記で選んだものを参照しながら左側にある『適用税率』欄及び『控除額』欄に税率及び控除額をリストから選ぶ形で入力します。
尚、『控除欄』の意味が分からない方は下記の記事をご参照下さい。
4-4. 税額控除金額を入力
所得税の税額控除は上記の税率を乗じることによって自動計算された『算出所得税額』から控除します。
給与所得のみで確定申告を要しない税額控除は住宅ローン控除(住宅借入金等特別控・特定増改築等住宅借入金等特別控除)と思われますので、控除金額を入力する欄を設けています。
控除金額は国税庁の公式サイトでご確認下さい。
4-5. あとは全て自動計算
ここまで入力が完了すると還付金額まで計算されます。
『年調所得税額』とは税額控除(住宅ローン減税額)を差し引いた後の税額です。
『年調年税額』とは復興特別所得税を上乗せした所得税の年間税額です。
復興特別所得税の詳細は国税庁の公式サイトでご確認下さい。
源泉徴収税額は給与台帳の「所得税」欄から自動集計されます。
既に年末調整が完了して年末調整による源泉所得税の還付金額も給与明細上で精算している場合には、還付金をマイナスして(徴収金額を加算して)給与明細の所得税欄に表示されます。
その場合には当シートで還付金はゼロとなります。
源泉徴収票から転記入力した場合には還付金がゼロにならない場合には入力ミスがあると考えられますので、入力数値の見直しをお願いします。
5. 「市町村民税所得割額計算シート」の入力
このエクセルの自動計算テンプレートの計算はほとんどが所得税の計算をしている「年末調整計算シート」で完結してしまいます。
「市町村民税所得割額」算定に当たっては、金額の違いなどを調整する作業がほとんどですので、ほぼそのすてべエクセルで自動計算しています。
入力するのは以下の項目だけです。
5-1. 「税額控除」の入力
本シート唯一の入力項目である税額控除は3種類あります。
このシートには登場しない『配当控除』や『外国税額控除』もありますが、給与所得のみのサラリーマンのみを対象にしているため今回は計算から除外しています。
5-1-1. 住宅ローン控除の入力
一つ目が住宅ローン控除額です。
住宅ローン控除額の算定はかなり複雑になっていますので、今回はご説明を割愛させて頂きます。
下記の総務省公式サイトをご参照頂き、金額を算定した上で入力をお願いします。
5-1-2. 調整控除について
二つ目が調整控除です。
これは所得税から地方税に税源移譲した関係で設けられた制度ですが、エクセルで自動計算しています。
詳細をお知りになりたい方は私が運営するもう一つのブログでご紹介した以下の記事をご参照下さい。
5-1-3. 寄附金控除の入力
三つ目が寄附金控除です。
寄附金控除の計算はふるさと納税による高等学校等就学支援金の所得制限に対応するための重要な控除項目であるため別記事を現在執筆中です。
詳細はもう少々お待ち下さい。
とりあえず寄附金控除額が分かる方は入力をお願いします。
6. 市町村民税所得割額が計算できた
以上の入力が完了したら『市町村民税所得割額』が自動計算されていると思います。
ご確認下さい。
6-1. 検証しておきたい年末調整計算
先ほどお伝えしました通り、この計算では「年末調整計算」を正しく行うのが最大のポイントです。
従いまして金額算定や入力について慎重に行い誤り無いようにしたいところです。
是非下記の記事をご覧になり検証方法も併せてご確認お願いします。
コメント