サラリーマンの年末調整をサクサク計算《簡単!エクセルテンプレート無料ダウンロード》

「年末調整を待てないっ!」という方のために簡単に計算できるエクセルテンプレートをご用意しました。

無料ダウンロードをして是非ご活用下さい。

サラリーマンは年末調整が終わったタイミングで渡される源泉徴収票を見て自分の所得税の確定額や還付金を確認します。

でも年末調整は12月最後の給与もしくは賞与支給後にしか計算されません。

しかし年末調整を待たずに年末調整の計算結果が必要な状況があります。

例えばこんな時がそうです。

本記事では所得税額計算のうち年末調整計算にのみ絞ってお伝えしています。

従って、以下の様な所得税計算が年末調整のみでは完結しない方は例外として対象外としています。

  • 複数の会社から給料を受け取っている方
  • 医療費控除/寄附金控除/雑損控除を受ける方
  • 住宅借入金等特別控除適用初年度の方
  • 給与以外の確定申告義務のある収入がある方

また1年間の内に転職しているケースも例外として除外しております。

2つの給与その他の金額を合算する手続きが必要となりますので転職があった方も例外としています。

1年を通じて1つの会社から給与をもらっているサラリーマンを対象にしています。

1. 年末調整は年間の所得税を計算すること

年末調整を計算するエクセルシートは上のダウンロードボタンをクリックするとダウンロードが可能です。

既に年末調整の仕組みをご存知の方はまずはダウンロードして「ドシドシ計算」してみて下さい。

ただ、もし「年末調整って何?」「やってることはわかるけど、どうやってするかまではよく分からないんだよね。」という方は、まずは本記事をご覧になって、『年末調整の概要』のご理解から始めるようにしてみて下さい。

1-1. 『年末調整』とは?

年末調整とはサラリーマンの年間の所得税を計算する手続きです。

「調整」という言葉が付いているのは毎月の給与で天引きされた「概算の徴収額」の年間累計額と実際の年間の税金との差額を調整することに由来しています。

年末調整については過去記事でご紹介しております。

当記事では給与台帳を作成して年末調整計算が可能なエクセルシートをダウンロードできるようにご準備しています。

但し所得税計算の仕組みをある程度ご理解頂いてないと金額の入力を誤る恐れもあります。

従いましてできれば次章以降の内容をお読み頂いた後にダウンロードしてご利用頂けたら幸いです。

1-2. 年末調整の計算フロー

年末調整の計算フローは以下の通りです。

  1. 年間給与・賞与の各項目を集計する
  2. 年収から給与所得控除を差し引いて給与所得を算出する
  3. 所得控除の合計金額を算出する
  4. 給与所得から所得控除を控除して課税所得を算出する
  5. 課税所得に税率を掛け算して年間所得税を算出する
  6. 源泉徴収税額と算出税額の差額を還付金として算出する

いろんな用語が出てきちゃいましたが、下の記事に用語の解説をしておりますので参考にしてみて下さい。

2. エクセルを活用して実践!「年末調整」

エクセルは集計するには便利なソフトです。

特にひとり分の年末調整なんて専用ソフトを使えば実はそれほど複雑でもありません。

しかも人事部や経理部が社員の何十人分、何百人分の計算するわけではないのですから…。

確かに社会保険料率をデータベースを参照して自動的に計算させるとか源泉所得税額を自動計算させるとか残業時間から時間外手当を自動計算させようとすると多少複雑な計算式を組み込む必要があります。

しかしサラリーマンにはこれらを計算してくれたものがあります。

毎月もらっている『給与明細』があればほとんどが足し算と引き算で用事が足りてしまいます。

2-1. まずは給与明細1年分を用意して集計しよう

毎月の給与明細が用意できたら1年分の給与明細に記載されている金額を集計します。

1年分の給与・賞与を一覧にして集計した表を『給与台帳』なんて呼び方をします。

『給与台帳』については以下の記事にて詳細のご説明をしております。

当記事を読み進めて必要に応じて補足して頂けたら幸いです。

尚、当記事でご用意している年末調整計算シートのテンプレートは給与台帳と連動しているタイプですので、上記の記事で配信している給与台帳のテンプレートをダウンロードする必要はありません。

2-1-1. 給与明細に各種小計欄がある場合には簡単な『簡易版給与台帳』がおススメ

上記のテンプレートは2種用意していますが、年末調整では簡易版で集計する項目が網羅されていれば良いのでもし給与明細に各種小計欄が用意されていたら集計の手間が少なくて済む『簡易版』をご利用下さい。

2-1-2. 給与明細に小計欄が無い場合の給与台帳作成の注意点

毎月の給与明細を集計して『給与台帳』を作成する際の注意点は「課税支給額」を正確に集計することにあります。

どういうことかと申しますと会社によっていろいろな支給項目がある場合がありますが、『支給項目』だからと言ってすべてが所得税法上、『課税の対象』になる訳ではないという点に注意が必要なんですね。

例えば大きな病気をした時に健康保険組合から補助金の支給が会社経由で受け取れる場合があります。

給与と一緒に振り込まれたりすると給与明細にも記載されて支給合計に含まれていたりします。

しかしこの支給額は給与所得とは無関係なので除外する必要があります。

また『非課税通勤手当』の様に法律で非課税とされている支給項目もあります。

もし『課税支給額』とか『課税合計』等の小計欄の給与明細で課税対象外の除外に不安がある方は給与計算されている部署に自分の給与明細に記載されている各項目の内、課税対象外がどれなのかを特定することをお勧めします。

そしてテンプレートの『課税支給額』の左側の欄に金額を入力します。

手当の名称などが異なる場合には変更して入力します。

また列が足りない場合には列を挿入してご利用下さい。

『課税支給額』にSUM関数で合計値を出しているので合計する範囲指定に注意して列の挿入をして下さい。

控除項目については社会保険料以外はとにかく全項目を網羅して控除合計が給与明細と一致して最終的に差引支給額が給与明細と一致さえしていれば問題ありません。

重要なのは社会保険料の合計額が『社会保険料合計』欄に正しく集計されていることです。

2-2. 課税支給額から給与所得を計算する

給与台帳が完成したら給与所得を算出します。

2-2-1. 混同してはいけない『課税対象額』

必要な数値は『課税支給額』です。

混同しないように注意したいのが『課税対象額』です。

月々給与天引きする『概算の所得税』である『源泉徴収税額』を計算するには『課税対象額』により算出しますが、ここで計算したい『給与所得』を計算するのに必要なのは『課税支給額』です。

参考までにご説明しますと『課税対象額』とは『課税支給額』から『社会保険料の合計額』を差し引いた金額です。

  • 「課税対象額」=「課税支給額」-「社会保険料控除額」

となります。

給与明細の項目名称によっては次のような感じになるかもしれません。

  • 「課税対象額」=「課税合計」-「社会保険料合計」

課税対象の支給合計から社会保険料を控除したものが『課税対象額』、控除前が『課税支給額』です。

金額の大小で言えば…

  • 「課税対象額」<「課税支給額」

となります。

2-2-2. 給与所得の算出方法

給与所得は国の法律で定められた計算式に当てはめて計算するだけです。

基本的には以下の算式で求めることになります。

  • 「課税支給額」-「給与所得控除」=「給与所得」

そして上記の『給与所得控除』は以下の表に当てはめて計算します。

平成30年分の給与所得控除
給与等の収入金額 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円(上限)

例えば、「課税支給額」が200万円だったら、

『1,800,000円超 3,600,000円以下』

に当てはまります。

収入金額 × 30% + 180,000円

で計算することになりますので、

200万円 × 30% + 180,000円 = 780,000円

となります。

従いまして

  • 「課税支給額」-「給与所得控除」=「給与所得」

に当てはめて

2,000,000円 - 780,000円 = 1,220,000円

給与所得は「1,220,000円」となります。

しかしながら課税支給額が660万円未満の場合には上記の計算式を使用せず、『年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表』なる表に当てはめて課税支給額から直接『給与所得』を拾い出します。

課税支給額が660万円未満の場合には下のリンクをクリックするとこの表のPDFがダウンロードできますので当てはめてみて下さい。

『給与等の金額』が200万円の場合には1,220,000円になっているのが分かるかと思います。

ただ、2,003,000円の場合も1,220,000円になっており計算式とは微妙に異なるケースも出てきます。

正確な数値で集計したいのでしたら、年収が660万円未満の場合には面倒でもこの表に当てはめて計算する方が良いと思います。

2-3. 年末調整の大きなポイントは所得控除を計算すること

所得控除とはその名の通り、所得から控除できる項目のことを指します。

『控除』という言葉はわかりにくいですが、『差し引き』という言葉で置き換えるといいでしょう。

給与所得控除も年収から『控除』つまりは差し引きできる項目のひとつです。

給与を得るための一緒の『経費』を一定のルールで定めて『給与収入で得た儲け』を計算しているようなものです。

そして給与所得者に限らず全ての所得に対して更に『差し引き』できる控除項目が『所得控除』です。

所得から控除(差し引き)できるから『所得控除』、とてもシンプルです。

2-3-1. 全てを網羅できるかが年末調整攻略のカギ、それが『所得控除』

ネーミングはシンプルだけど種類が多く、それぞれの控除項目における適用条件を把握するのが面倒なのが所得控除です。

まずはどの様な所得控除があるか確認してみましょう。

所得控除と概要
所得控除の種類 内容・ポイント
支払に関する控除 社会保険料控除 ・控除額=年間支払社会保険料
・限度額なし
生命保険料控除 ・控除額=年間支払保険料に基づいた計算結果
・限度額12万円
地震保険料控除 ・控除額=年間支払保険料に基づいた計算結果
・限度額10万円
小規模企業共済掛金控除 ・控除額=年間支払掛金
・限度額なし
「人」に関する控除 配偶者控除 ・控除額=38万円
・配偶者の所得が38万円以下で適用可
配偶者特別控除 ・控除額=38万円~1万円(本人及び配偶者の所得により変動)
・本人の所得が1千万円以下かつ配偶者の所得が38万円超76万円未満で適用可
扶養控除 ・控除額=38万円(一般の扶養親族)/63万円(特定扶養親族)/48万円(同居老親等以外の老人扶養親族)/58万円(同居老親等)
障害者控除 ・納税者自身、同一生計配偶者又は扶養親族が障碍者に該当で適用
・控除額=27万円(障害者)/40万円(特別障害者)/75万円(同居特別障害者)
寡婦控除 ・控除額=27万円(寡婦)/35万円(特定の寡婦)
・夫と死別や離婚後婚姻をしていない女性で扶養親族がいる女性又は生計を一にする子がいる女性
・夫と死別後婚姻をしていない所得が500万円以下の女性
上記いずれかで適用
10 寡夫控除 ・控除額=27万円(寡夫)
・所得金額が500万円以下で妻と死別や離婚後婚姻をしておらず同一生計の子がいる男性
11 勤労学生控除 ・控除額=27万円
・合計所得が65万円以下で勤労に基づく所得が10万円以下であり、特定の学校の学生であること
12 基礎控除 ・控除額=一律38万円
・適用要件なし

年末調整で所得が控除できるのは上記の12種類だけです。

上記12種類の所得控除のうち自分に該当する控除について金額を確定させ全てを合計します。

それが『所得控除額』となります。

尚、各控除には上の表に書かれているよりも少し細かな適用要件があります。

また控除額の細かな計算式もあります。

適用の可否や細かな金額算定については控除項目名称をクリックして国税庁の詳細の説明をご確認下さい。

※これらの控除は確定申告により控除可能です。今回の記事では説明を割愛しますが所得税計算上はこれらの所得控除を控除した後に所得税が計算されます。つまり年末調整だけでは年間の税額が確定しないことにご注意下さい。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 寄付金控除

2-4. 年末調整の所得控除算定時の注意点

年末調整の所得控除の算定のコツや注意点があります。

1つ目は表にもある通り、控除のタイプは保険料などの『支払金額』に基づいて控除額が決まるもの家族構成や食条件などのによって決まるものの2種類があることを念頭において適用可否判定や該当金額を判定することです。

2つ目は前回の年末調整の結果が参考になるということです。

2-5. 「保険料支払タイプ」の所得控除はこう判定

4つの保険料は割とわかり易いと思います。

小規模企業共済は聞き慣れない言葉かもしれませんが、恐らく聞き慣れない方は「該当なし」でしょう。

昨年の控除内容と比較すればどれが該当するかの目安になります。

昨年の年末調整の時に会社から発行された『源泉徴収票』にはその情報が記載されていますので参照すると良いでしょう。

2-5-1. 社会保険料は給与計算で集計が完了するので簡単

社会保険料は給与台帳を作成すれば計算が完了します。

社会保険料の合計欄をそのまま転記すれば良いのです。

2-5-2. 生命保険料や地震保険料の所得控除は参考資料を上手に参照

生命保険料や地震保険料は保険会社から発行される『控除証明書』に記載されています。

控除証明書に記載された支払保険料に基づいて計算します。

計算はこれが役に立ちます。

この申告書で回収しているデータは以下の通り

  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 配偶者特別控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済掛金控除

いつも年末調整で会社に提出している用紙です。

詳しい計算は国税庁のサイトでも確認できますが、この用紙に記載する欄をきちんと記入していけばこの2つの保険料控除の金額は算定できます。

2-6. 「人に関するタイプ」の所得控除はこう判定

「人に関するタイプ」の所得控除は該当するかどうかでほとんどが決まりますが、一部の控除項目は同じ控除でも所得などの「数値」だったり条件を満たしているかどうかで更に金額が細分化されています。

年末調整の時、これらは以下の書類を提出することにより会社に報告しています。

書き方を参考にして実際にどの様に記載して提出するのかを想定すれば計算することができると思います。

この申告書で回収しているデータは以下の通り

  • 配偶者控除
  • 扶養控除
  • 寡婦控除/寡夫控除
  • 障害者控除

2-6-1. 配偶者に関わる所得控除

配偶者に関わる2つの控除、『配偶者控除』と『配偶者特別控除』は同時に受けることはできません。

配偶者の所得・給与収入と『配偶者控除・配偶者特別控除』は以下の様な関係にあります。

 配偶者の所得(収入)と所得控除の関係

ここで注意したいのは『配偶者控除』には本人の所得要件は特にありませんが、『配偶者特別控除』を受けるには本人所得が1千万円以下であるという条件がつくことです。

2-6-2. 扶養親族に関わる所得控除

配偶者以外の扶養親族には『扶養控除』が適用されます。

扶養親族の対象は4つの要件があります。

詳しくは先述の国税庁へのリンクを確認して頂きたいと思いますが、その4つの要件の1つに本人と同一生計であるというものがあります。

また年齢によって控除対象になるかどうかが細分化されていることにも注意が必要です。

年齢での注意は1つは高齢者の扶養親族は金額的に優遇されている点です。

2つ目は子供は児童手当が支給されているため、満16歳未満は控除対象の扶養親族から除外される点です。

3つ目は満年齢はその年の12月31日時点で判定される点です。

4つ目は所得金額が38万円以下という所得要件があるため金融資産からの収入・年金・アルバイト代等の収入がある親族が扶養親族かどうかを判定する場合は『合計所得金額』をきちんと把握する必要がある点です。

2-6-3. 基礎控除は一切の要件がなく必ず控除できる

基礎控除は適用要件がありませんので、無条件で一律38万円の控除が可能となります。

合計金額を算出する時に足し算漏れが無いように注意が必要。

2-7. 課税所得を算出する

ここまでで給与所得と所得控除の合計額が算出できました。

次はこの2つの金額により課税所得を計算します。

課税所得は税率を掛け算する金額となります。

  • 『課税所得』=『給与所得』-『所得控除合計額』

2-8. 所得税を算出する

基本的な考え方は

  • 『所得税』=『課税所得』×『税率』

ですが、実際の計算は少し異なる計算式を使用します。

2-9. 還付金を計算する

還付金は月々給与天引きされた年間の『源泉徴収税額』合計から実際に計算した『年間の所得税額』を差し引くことで算出されます。

  • 『還付金』=『源泉徴収税額累計』-『年間の所得税額』

源泉徴収税額の年間累計は給与台帳を作成していればその集計値をそのまま利用できます。

万一上記の算式で結果がマイナスになったら毎月徴収していた源泉徴収税額が不足していたことになります。

従って、『還付』ではなく追加徴収されることになります。

3. エクセルテンプレートでこれまでの計算する

ここまで詳細に年末調整の計算ステップをお伝えしてきました。

この内容を集計するエクセルテンプレートをご用意しました。

このテンプレートに入力すると簡単に還付金まで計算が可能となります。

上記の計算シートは生命保険料控除や地震保険料控除について保険料を入力すると所得控除額を自動計算するバージョンとなっています。

この計算シートでは年末調整データを入力すれば「市町村民税所得割額」まで自動計算する機能も付いています。

4. 昨年の実績で計算練習をする

下記の記事で前年実績に基づいた計算をして検証する方法をお伝えしています。

実際に計算する前に是非お試ししてみて下さい。

詳しい使用方法は下記の記事も併せて参考にしてみて下さい。

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