『公立高校授業料無償化の所得制限』のボーダーラインとしている『世帯年収の定義』について考えたいと思います。
着目するのは以下の3つです。
- 誰の年収を含める?
- 収入の範囲は?
- 基準は所得ではなく収入?
1. 高校の授業料はいくら?
これから高校に入学するお子さんをお持ちのご家庭では「そもそも高校の授業料っていくらなの?」という方もいらっしゃるかもしれません。
都立高校全日制課程の授業料は年額118,800円です。
その他の学校の入学金や授業料は以下の記事に詳細をご紹介していますのでご参考にして下さい。
所得制限で対象から外されれば3年間で35万円以上の支出増となります。
お子さんが2人であれば70万円超、3人であれば100万円超の差が出てきます。
2. 注意したい『年収910万円以上』の定義
所得制限の目安でよく語られるのが『年収910万円以上』というボーダーライン。
確かに年収910万円を超える収入のサラリーマンは高収入とも考えられます。
しかしんがら『世帯年収』なのでその定義をきちんと把握しなければなりません。
3つの点に着目する必要があります。
2-1. 世帯年収に含めるのは『誰の年収?』
1つ目は、世帯に含めるのは誰か?という点です。ま
共働き家庭は収入があるのは夫婦二人です。
また既に就職しているアルバイトをしている兄弟や祖父母など『世帯』の構成者のうち『誰の』収入を合算する必要があるか?という点です。
また正確に『世帯』を構成する対象者全員の年収データを合算するのは簡単なのでしょうか?
2-2. 収入の範囲は?
2つ目は、世帯収入に含めるべき収入の範囲はどこまでか?という点です。
今回の様な『所得』や『年収』についての議論が出ると、サラリーマンの給与所得や給与年収を想定されがちですが、世帯年収には様々なものがあります。
私は不動産投資をしているので給与収入以外に不動産収入もあります。
また株式投資をしている人なら配当収入や株式の売却収入もあります。
預金の利子だって所得税法上は立派な収入です。
個人事業をしている人なら事業収入もありますし、『おじいちゃんの年金収入』まで『世帯収入』に含めるなら、910万円なんてあっという間に超えてしまうでしょう。
特に預金利子や株式投資などの金融資産からもたらされる収入に関しては確定申告を省くケースもありますので、その収入の把握は結構大変かもしれません。
2-3.『所得』ではなく『収入』が基準?
3つ目は、目安となっているのは収入を基準にしている点です。
『所得』ということであれば、その定義が所得税法ではっきりしていますので『年末調整』や『確定申告』で全所得を合算したデータを算出することは比較的簡単です。
ただ『収入』となると、赤字の出ている個人事業の人でも910万円の収入なんて当たり前にあるでしょう。
私だって儲けはほとんどない不動産投資ですが、収入は家賃分、発生していますので影響は大きいです。
株式売却で売却損が発生していても売却金額がゼロでなければ収入はあります。
高額所得の人を除外したいという趣旨でしたら、世帯収入から判定するのは緻密なルールづくりが必要かもしれません。
3. 収入910万円というあいまいな基準で判定するのは判断を誤る
これまで見てきたように、目安として語られる『年収910万円』というボーダーラインは本当に参考程度にしかなりません。
もちろん、世帯収入がサラリーマンの旦那さん一人のものであっても必ずしも年収910万円がボーダーラインになるとは限りません。
ですから正確なデータに基づき判定することをお勧めします。
下記の記事で判定基準の詳細をご紹介していますのでご参考にして下さい。
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