法律改正があるたびにサラリーマンの家計に影響があります。消費税の税率改正の様に大騒ぎされるものもあれば、「いつの間にか」変わっているものもあります。
こうした情報に敏感になることも大事ですが、法律改正で実際に自分の家計にどの程度影響があるかを冷静に分析できるスキルも大切だと思います。
今回はサラリーマンの所得税を簡単に計算する方法をお伝えしたいと思います。
1. 税金の変化に対応するために影響を『見える化』してみる
消費税増税、所得税控除の廃止による事実上の増税、厚生年金の段階的保険料率の引き上げなど、懐に厳しい法律がどんどん実施されていますよね。
反対の気持ちがあったとしても、法律はどんどん施行されていきます。
そんなときに冷静に対処するために、
「自分にとってどのような影響があるのか?」をきちんと、「見える化」できるかどうかは大事なことだと思います。
「見える化」で大事なポイントの一つは数値化できるものは数値化して比較したりすることだと思います。
2. 年末調整がサラリーマンの税の知識獲得機会を奪っている?
よく言われていることにこんな言葉があります。
『日本のサラリーマンは年末調整制度があるおかげで税金の仕組みなどに無頓着で税金を取る側からはとても都合が良くできている』
私も会計事務所に勤めるまでは税金のことなんて本当に無頓着でした。
年末調整は「臨時収入」がある小遣いの少ないサラリーマンのための年末のイベントくらいに考えていました。
思うことと言えば、「還付金は、現金支給にして欲しいな。」ぐらいのものでした。
サラリーマンの所得税は給料から天引きされるので徴収側からしてみれば所得が捕捉しやすく安心確実に徴収される便利な仕組みのようです。
「給与所得控除」とは、その便利なサービスを維持するために『アメ』として与えられている」という人もいます。
3. 源泉徴収票は計算過程までは教えてくれない
サラリーマンの所得税がいくらかは、『源泉徴収票』を見ればわかることなのは、ご存知の方が多いとは思います。
しかしその源泉徴収票に記載されている数字がどうやって計算された結果かは知らない方も多いと思います。
「年末調整」によって会社が自分の税金計算をしてくれるため、知る必要もないし会社も普通は結果だけをお知らせして計算過程までお知らせはしません。
4. 確定申告書は便利な『所得税計算シート』
所得税計算は一般的なサラリーマンなら簡単に計算できます。
まずは、どうやってあの「源泉徴収票」に書いてある税額になるのかを理解するところから始めるのが良いでしょう。
面倒ではあるかもしれませんが、加減乗除ができれば難しいものではありません。
手っ取り早いのは確定申告書を作っちゃう方法です。
確定申告書は良く見ると所得税の計算過程を記載していくスタイルをとっているので計算過程を追いながら税額をはじき出すのに便利な『計算シート』になっているのです。
5. 確定申告書を印刷して埋めていけば所得税が計算できる
国税庁のサイトから申告書もその手引きもダウンロードできます。
手引きに従って一つづつ欄を埋めていけば簡単に所得税が計算できます。
日本語さえ読めて面倒がらずに埋めていけば簡単です。
先ほどのカラーの確定申告書は所得税の確定申告書の1ページ目ですが、2ページ目、3ページも上のようにダウンロード可能です。
今回のこの記事の趣旨は『確定申告の必要は無いけど税金ってどうやって計算されているかを知るためにあえてこの申告書を利用しちゃおう』ということです。
ということで、まずは申告書をダウンロードしてみましょう。
ご覧になるとわかる通り、数値を入れる欄には①とか②というように、ナンバーが振られています。
更に計算欄には「合計欄⑤は合計(①+②+③+④)」というようにどの行の数字を合計すれば良いかを記載されています。
こういった申告書類の「注釈」を良く読むと意外に簡単に申告のゴールの数値まで自力で到達することができます。
細かなところでつまづくようでしたら、親切なマニュアルも用意されていますので横に置きながら各数値の欄を埋めていくことから始めてみましょう。
6. 計算を自動でしてくれる確定申告書作成プログラムが無料で利用できる
最近は国税庁も納税者に親切です。
ネット経由で確定申告書作成プログラムを利用することができます。
国税庁が提供するものなのでいかがわしいサイトでダウンロードした無料プログラムよりも安心して利用できます。
(昨今は個人情報流出がお役所でも当たり前にありますのでその点ではまったく安心というわけではありませんが…。)
印刷して申告用紙に印刷するよりも簡単です。
電卓すら必要ありません。
上の画像は国税庁の公式サイトにある確定申告書の作成の案内ページです。
しかもその年ごとに確定申告の締め切りや注意点等を詳しく教えてくれます。
確定申告をしなければならなくなってしまった人は是非活用してみて下さい。
7. 確定申告書が完成したなら
これらの方法で確定申告書が完成したらご自分の源泉徴収票に記載されている金額と答え合わせをしてみます。
源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄の金額と確定申告書の「年税額」が一致すれば、「あたり」です。
確定申告書の計算過程を確認すれば、どれがどうなると税金が上がったり下がったりするか確認ができます。
確定申告書等作成コーナーにある数値を変えてみれば実際の年税額がどの様にへんどうするかも具体的な金額で確認することができます。
8. 法律改変の影響額を理解するには自分の税金の計算構造の理解が必要
所得税の計算は、しょっちゅう変わっています。
子育て支援、弱者支援、いろいろな政策的な理由で計算を変更構造を変更することが本当に頻繁に起こります。
そのたびにニュース等でその影響額などについて報道されますが、すべての人に当てはめた計算結果を示して説明することは難しいです。
ですから、結局は「平均的なサラリーマンの場合は年間5万円の負担増です。」といった説明になり、自分への影響額を確認できません。
「『所得控除』って、いったい何?」ってわけにはそろそろ行かなくなっているんですよね。
その法律が一体何を変えようとしているのか、そしてそれがどのように自分に跳ね返ってくるのかをきちんと理解する必要性ってあると思います。
今回のように一度計算してみてその内容を把握できているとその助けになるのではないでしょうか?
9. 自分の税金の負担割合を知ってみる
税金の負担を自分がどれくらいしているかなんてことをしてもいいかもしれません。
上のグラフは税目別の税収の推移です。(クリックすると拡大します)
ちょっと古いデータですが、平成22年度予測値で12.6兆円です。
平成22年の自分の所得税額が100万円だったら、100万円/12.6兆円ということですね。
納税者を6,600万人と仮定すると、12.6兆円/6,600万人=19万円/納税者一人当たりの平均値
と比較して自分の納税額は平均値より多いのか、少ないのか、といったことも確認できます。
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