慢性血栓塞栓性肺高血圧症~ハプニングの2泊3日の検査入院

1. 手術後、初めての検査入院

4回目のバルーンカテーテル手術から6ヶ月が経ち、大学病院で2泊3日の検査入院をしてきました。

でも今回は入院前からハプニング!!

と言うのも、病院のパソコン上の入院日が、本来の入院予定日の1週間も前になっていましたから。

恐らく…

前回の入院中、医師から提示された『次回の検査入院の日』をどうしても都合がつかないからと1週間後ろにずらしてもらったのですが、その時、病院のパソコンのデータは書き換えられていなかったと思われます。

その結果、本来の入院予定日の前の週に病院から電話がきました。

「クリオネさんの入院日が食い違っていて、パソコン上では明後日になっているのですが・・・」
(*_*)

来週のはずの入院を、急に明後日と言われてビックリ…そして動揺!!

寅さんみたいにトランク1つで、いつでも身軽にでかけられる自由人ならいいけれど、

「ハイ、そうですか」

って訳にはいかない私。

だってぇ~、病院まで車で送迎してくれる主人の仕事の都合やら入院中に子供たちの世話をするため泊まりに来てくれるお義母さんの都合やら家族を巻き込んでの入院だから、私よりも支えてくれる家族に迷惑が掛かってしまうのですから。

それで、

「来週の入院予定日じゃないと入院できません。」

と伝えたところ、

「その日の入院が可能かどうかお調べします。」

と言う返事。

6ヶ月前から予約していたのに、今更入院が可能かどうかなんて言われても…。

ドキドキして待っていると受話器の向こうから、

「来週のその日ならカテーテル室が空いているので大丈夫です。」

と嬉しい返事。

でも同時にカテーテル室が空いてなかったらどうなっていたのだろう???と思ってゾッとしました。

今回の入院中に発生するハプニングの種は、もうすでに撒かれていたのです!!

2. ハプニング ~6分間歩行検査の行方

いつもなら循環器病棟での入院になるのですが、今回はベッドの都合で別の病棟での入院となりました。

肺高血圧症に詳しい看護師さんのチームに診てもらえないのは少し不安でしたが、贅沢は言ってられません。

予定日に入院できるだけで御の字です。

ベッドで寛いでいると循環器の研修医・F医師が来てくれて検査の説明がありました。

入院1日目の検査は、昼食を食べた後、3つの検査が予定されているということでした。

  • レントゲン
  • 心電図
  • 6分間歩行検査

レントゲン・心電図にはすぐに呼ばれて、あっという間に検査が終わったのですが、なかなか6分間歩行検査には呼ばれません。

「私が検査の心配までする必要ないしね」

と呑気に構え、検査に呼ばれるのを待っていましたが、ハッと気づいて時計を見ると夕方5:00。

「検査の時間がなくなっちゃう~」とさすがに心配になってきて、看護師さんに聞いてみました。

すると、ナースステーションで確認して来た看護師さんから、

「今日は6分間歩行検査はありません。」

と意外な一言(*_*)

私はすかさず「明日に変更ってことですか?」と確認しましたが、循環器の看護師さんではないせいか詳しいことは分らないようです。

結局、確認しておきますってことになりました。

なのにその夜。

循環器のF医師が再び登場し、私にこんな質問を投げかけてきました。

「今日の6分間歩行検査、どうでしたか?」

(?_?)

その質問に衝撃を受けながら、今日は6分間歩行検査を受けていないことを伝えると、今度はF医師の方が「えっ?そうなんですか?」と軽く衝撃を受けているようでした。

せっかくの検査のチャンスなのに、私は無事にすべての検査を受けることが出来るのでしょうか?

一抹の不安を覚えました。

3. 入院1日目の恥ずかしい夜

引き続きF医師から、明日(入院2日目)に受ける検査の説明が始まりました。

・スワンガンツカテーテル検査
 (肺動脈造影&運動負荷検査)

この検査はカテーテル室で行うことになるのですが、検査時間は約2時間

検査時間の長さから、途中でトイレに行きたくなる患者さんが多いという話を聞かされました。

3-1. 準備が必要なスワンガンツカテーテル検査

若い方は比較的大丈夫らしいのですが、女性で高齢の方になるほど検査の途中で尿意を催し、我慢しながら辛そうに検査を受けたり、検査の途中で尿道カテーテルを入れることになる患者さんもいるといいます。

そこでF医師から、予め病室で尿道カテーテルを入れておくという提案を受けました。

ただし、検査直前は色々な準備でバタバタするため、やるなら今夜から開始しますということでした。

3-2. 苦渋の決断

私は少し悩みました。

なぜなら、今晩からは点滴だって開始されてしまうから。

検査時に使う造影剤が腎臓には良くないため、腎臓に尿を溜める薬の点滴が始まるのですが、点滴の管尿道カテーテルの管に繋がれて身動きが取りにくいのはかなりストレス。

それに恥ずかしいから、できれば尿道カテーテルなんて入れたくありません。

しかし、私もどちらかと言えば高齢の方に近い訳だし、尿意を我慢しながら受ける検査は辛いだろうと想像し苦渋の決断

予め尿道カテーテルを入れてもらうという提案を受け入れました。

3-3. 若い男子を前にした覚悟

消灯時間の少し前、点滴を入れに来てくれたのは当直医の若い男の医師でした。

そして、なんとなんと尿道カテーテルもその若い男の医師が…。

だが私は子供を2人も産んだおばさんの身。

(子宮がん検診だって、何度となく男の医師に診察してもらってきたのではないか!!)

と自分を納得させて尿道カテーテルを入れてもらったのだけれど…。

3-4. そこ、違うでしょ?

Oh my God !!

どうも違うところに入っている感じが否めない。
(+_+)

尿道カテーテルがちゃんと正しいところに入っている場合、膀胱を押せば管を伝って尿が出てくるはずなのですが、何度押しても出てきません。

私は、

「違うところに入っているみたいです」

と何度か医師に伝えてみたし、医師だって何度も「あれっ?」って言っていたのに「様子を見ましょう」と放置されました。

そして1時間後、尿意と共に膀胱が膨らんでいく感じが…。

自分で膀胱を押してみたものの、尿道カテーテルに変化なし。

3-5. ナースコールで男子が渋滞って…

ナースコールで看護師を呼ぶと、飛んできてくれたのはこれまた若い男子の看護師さん

何故かこんな恥ずかしい局面に限って若い男子ばかりがやって来るの?
(+_+)

「尿道カテーテルが違うところに入っているみたい」だと伝えると、暫くあれこれとカテーテルを調べた後に、やっぱり1度カテーテルを抜いてみましょうと、またもやその若い男子に処置をされました。

3-6. 私は旧型女子

その後に再度、尿道カテーテルを入れに来てくれたのは若い研修医の女医さん2人組。

同性だから安心と思ったのも束の間、処置に慣れてないようで2人がかりで四苦八苦。

旧型のおばさんの私と、新型の彼女たち、何か造りが違うのだろうか?と不思議に思いながら、何度も「違うところに入っている」ことを伝えるという恥ずかしい夜になりました。

4. 2日目、スワンガンツカテーテル検査

検査時間の10分前にストレッチャーに乗せられて、仰向けに寝たまま検査室へ向かいました。

4-1. 検査準備

検査室に入ると検査の帽子を被せられ、同時に本人確認が始まりました。

検査台に移り仰向けに寝た状態になると、いつものBGMが聞こえてきて鳥の鳴き声に癒されます。

カテーテルは首から挿入。

首に麻酔をするときチクッとする痛みが少々。

そのあと顔にブルーのシートを被せられるため視界はゼロ。

4-2. そして検査は始まった

最初は安静時の肺動脈圧を測るため、じっとしたまま。

時々、体の中を流れる造影剤に熱いと感じたり、カテーテルの影響で心臓がドキドキしたり。

首からカテーテルを挿入しているため、横向きのまま動かせない首が疲れてちょっと辛くなってきます。

画像の撮影時は医師の指示に従って息を吸ったり止めたり。

そのあと運動時の肺動脈圧をはかるため、口には酸素マスク、両足にはペダルを履かせられ、仰向けに寝たまま自転車漕ぎをさせられました。

周りで見守る医師や看護師たちが「1・2・1・2」とか「右・左・右・左」と掛け声をかけてくれるので、それに合わせて漕がなきゃいけません。

最初は負荷がないので楽々ペダルを漕げるんですが、徐々に加わる負荷のせいで、どうしても掛け声に追いつけなくなってきます。

タイミングを合わそうと必死に足に力を入れて漕ぎ続けると、徐々に息もハアハアハアと荒くなります。

もう漕ぐの止めちゃいたいなーと思いましが、医師や看護師さんの、

「もう少しだから頑張って!!」

という励ましの声が本当に本当に有難かったです。

4-3. 検査終了

病室に戻ると30分の安静を言い渡されました。

手術の時の安静時間と比べると30分なんて可愛いもの。

それに、久々の激しい運動で疲れている体には丁度いい休養時間でした。

そして、30分が過ぎると看護師さんが再びやってきて、

「ふらつきが無いか歩いてみましょう」

とナースステーションまでの少しの距離を一緒に散歩してくれました。

ふらつきがないことに安心すると、今度は6分間歩行検査の行方が気になって、ベッドに戻る道すがら看護師さんに聞いてみました。

するとその看護師さんから、

5. 結局どうなった? 6分間歩行検査

結局、2日目も3日目も6分間歩行検査はやらず仕舞い。

6分間歩行検査で新記録を樹立すべく、筋肉を落とさないことと広い広いショッピングモールで歩く練習を重ねてきました。

どの程度歩けるようになっていたのか知りたくて楽しみにしていたから、できれば受けたい検査でした。

「やります」と言っていた検査が急に無くなるというハプニングの説明はありませんでしたが、研修医や看護師さんたちから少しずつ漏れてきた話を繋ぎ合せると・・・

間違えていた入院日をキャンセルして、本来の入院予定日に変更した際、6分間歩行検査もキャンセルされてしまった。

再度、6分間歩行検査のオーダーを入れなくてはいけないところ、何故かそれが漏れてしまった。

どうもこんな事らしいです。

でも6分間歩行検査をしなくても、運動時の検査をやっているので問題は無いということで安心しました。

6. 検査の結果は?

循環器の医師から検査結果の説明がありました。

6-1. 飛躍的に改善

今までの手術で広げた血管が再狭窄していることもなく安静時の肺動脈平均圧は19に!!

前回の手術の時の数値21と比べても更に改善しているし、肺高血圧症とされている基準値25を下回る良い数値に心の底から嬉しくなりました。
(#^.^#)

6-2. 在宅酸素療法卒業は「おあずけ」に

ただ、運動時の数値は40まで上がってしまうので、服薬と在宅酸素は継続しなければなりません。

難病だから完治はしないのでしょうが、在宅酸素を卒業するのが目標なのでちょっとガッカリ。
(+_+)

今後、再狭窄したり症状が悪化することがあればすぐに手術を検討しますが、今のところは手術の予定はないという結果に。

6-3. 新薬投入は?

『慢性血栓塞栓性肺高血圧症の新薬』が今年から発売されるようになり、今回の検査を期に私も服用するようになるのかな?って期待もしていましたが、私の場合はかなり改善しているので新薬の服用は必要ないということでした。

この新薬については、もう少し病状の悪い患者さんが対象であり、この新薬に限らず、どんな新薬でも2週間分ずつしか処方できないため通院回数が多くなってしまうといいます。

7. 前を向いて歩こう

次の検査入院は、また6ヶ月後。

次回こそ6分間歩行検査で新記録を更新できるよう、筋肉を落とさないようにどんどん歩こう、前を向いて。
!(^^)!

この記事は2014年12月22日に書かれたものをブログ引っ越しを機にリライトしたものです。記事中の時系列も記事執筆当時のものになっています。
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