慢性血栓塞栓性肺高血圧症という難病になった妻がバルーンカテーテル手術の後に退院して移行した『在宅酸素療法』。
前回紹介した『酸素供給装置』と『酸素ボンベ』は酸素吸入のための機器ですが、もう一つ大事なアイテムがあります。
それが…、
『パルスオキシメーター』
です。
1. パルスオキシメーターを必要とする妻の状況について
1-1. 妻の病気
現在、妻は「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH:シーテフ)」という病気の療養中です。
この病気に罹ってから血液に肺から酸素を充分に取り込めなくなっています。
従って少しの運動で息切れがしたりして心臓に負担がかかります。
それを補うために酸素供給装置や酸素ボンベを使って酸素吸入をしています。
そして血中への酸素供給状態をモニタリングするためにパルスオキシメーターを使用するわけです。
1-2. 退院後の生活
妻は退院の時に病院でこれらの指導を受けました。
患者さんの状態にもよりますが、入院時の状況からは格段に良くなった妻は決して『常に安静』にしていなければならないほどではありません。
走ったり、長い間歩いたり、階段の昇り降りは良くありませんが、短時間なら普通に歩いたりするのは全く問題ありません。
術後の経過は良好ですので様子を見ながら少しづつ運動をすることも必要ということです。
心臓への負担がかからない程度に動くことはむしろ必要だということです。
そうしないと心臓が運動に対して耐性がなくなって、いざ運動をしようと思っても心臓が弱くなってしまうから、というのがその理由だそうです。
怪我をしたりして病院で寝たきりになると筋力が急激に衰えて歩くのが大変になった、なんて経験がある方もいらっしゃると思いますが、あれと基本的に同じだと思います。
1-3. 「本人の自覚」では難しい体内のモニタリング
ただ筋力の疲れ具合の自覚に比べると心臓の負担の度合いを感じるのは難しい面があります。
実際、息切れはしていなくても、実はそれは『心臓が頑張ってくれているから』、ということもあります。
1-4. 心臓が頑張りすぎるのが禁物な病気
妻は肺高血圧症になって心不全になりました。
詰まっている肺への血管(肺動脈)へ普段よりも強いポンプ力が必要なため心臓が過度に頑張り、その結果、肺へ血液を送り出す右心室が肥大します。
そのあおりを受けて左心側はつぶれたようになってしまっていたのです。
ですから血流がよくなったからといって右心室に負担をかけるような負担の大きな運動は禁物です。
そのため血液の状況をモニタリングしながら、『このぐらいの運動なら大丈夫かな?』って加減をしていくことも大事だということです。
2. パルスオキシメーター購入して安心した生活を
病院からの指導ではパルスオキシメーターを必ず購入する必要はないと言われたみたいです。
でもやっぱり慎重に管理をした方が良いと思われましたので、購入することにしました。
2-1. 既にチョイスしていた妻
妻は既に退院までの間にネットで調べていて候補の商品をピックアップしていたようです。
私は意外だったのですが、アマゾンでこういう商品を扱っているのですね。
購入したのはこの商品です。
小池メディカル社製 「サーフィンPO」という商品名です。
値段は14,700円(税込)※購入当時の価格です。
安くはないですが専門的な医療用品の割にはこんな値段で買えるんだ、といった印象です。
電源は単4乾電池2本。
ストラップがついているだけで外部電源はありません。
ディスプレイは反転して逆さで見ても横から見ても見易いように切り替え可能です。
指が外れていると8秒後に自動的に電源が切れるという『お利口さん』です。
2-2. 使い方はいたって簡単
上の写真の様にクリップ状になっているので指を挟むだけ。
フロントパネルの右側にある電源スイッチを入れるだけです。
約7秒で計測結果がディスプレイにデジタルで表示されます。
2-3. 何が測定できるの?
測定できるのは、2つの数値です。
- 動脈血酸素飽和度(SpO2)単位は%
- 脈波数(PR)単位はbpm
ということで、ちょっとパルスオキシメーターについて調べてみました。
3. パルスオキシメーターのうんちく
3-1. パルスオキシメーター(pulse oximeter)
プローブを指先や耳などに付けて、脈拍数と動脈血酸素飽和度(SpO2)をモニターする医療機器。
動脈血の酸素飽和度を簡便に計測できるため、麻酔管理や手術中、ICUでの患者のモニタのために用いられるほか、在宅酸素療法の患者指導などにも用いられているということです。
体に針を刺したり切ったりすること無く動脈血酸素飽和度(SpO2)の測定を行う事が可能です。
これにより心肺機能が常時正常であるかを知る事ができるため、予備的な健康診断手法として利用する事も可能にしています。
我が家のものは単純にその場で測って数値を見るだけのものですが、モニター結果を内蔵メモリーに記録できるものもあるようです。
3-2. 日本の発明!
日本は医療機器の先進国だということを聞いたことがありますが、このパルスオキシメーターも日本の発明品だそうです。
ミノルタカメラ(現コニカミノルタ)より、「オキシメーター」の特許出願がなされました。
アメリカに持ち込み技術改良を経て、麻酔中のモニターとしてまずアメリカで1980年代に定着したようです。
3-3. パルスオキシメーター博士になれる?
ということで、コニカミノルタのホームページを覗いてみたら、とってもわかり易い解説がありました。
私がこのページで詳しく解説する気も起きなくなるくらい、懇切丁寧な説明ぶりです。
しかも漫画で原理から歴史まで詳しくわかっちゃいます。
3-4. パルスオキシメーターは家庭用医療機器ではない
この中で気になったのが…、
『家庭用パルスオキシメーター?』というトピックです。
同社は、
『医科向け医療機器です、パルスオキシメーターは。』
と説いています。
操作性は簡単便利で、家庭用として普及した電子血圧計と同様です。
でも同社では、
「その数値をどう見るか、判断するかは、医療従事者の仕事だよ。」
と警鐘を鳴らしています。
確かにその通りですね。
妻も日常の目安にしますが、最低月に1度は通院して主治医の先生と相談しながら、どの程度の運動をすべきか検討して治療を進めています。
3-5. エスピーオーツー(SpO2)とは?
そして詳しく知りたかったのが、『エスピーオーツー(SpO2)?』というトピックです。
とてもわかり易いので、コニカミノルタさんの知恵袋から引用させて頂きます。
◆エスピーオーツー(SpO2)とは?◆
パルスオキシメーターで計るのは「動脈血酸素飽和度(と脈拍数)」です。
動脈(心臓から全身に運ばれる血液)に含まれる酸素(O2)の飽和度(Saturation:サチュレーション)をパルスオキシメーター(pulse oximeter)を使って計っていますので、その測定値をSpO2(エスピーオーツー)と呼びます。
(採血などの方法によって動脈血の酸素飽和度を測定したものはSpO2と区別するためSaO2(エスエーオーツー)と呼びます。)
酸素の飽和度と言われても何のことかよく分からないかも知れません。血液中の酸素の大半(健康なら99%近く)は赤血球の中にあるヘモグロビンによって運ばれます。飽和とは最大限の状態を指しますので、酸素飽和度とはヘモグロビンが運べる最高の状況に対し、実際にどの程度まで酸素を運べているかを意味していることになります。
具体的には、血液中のヘモグロビンのうち、実際に酸素を運んでいるヘモグロビン(酸化ヘモグロビン:HbO2)の比率のことを酸素飽和度(SpO2)と言い、単位は%(パーセント)になります。
とてもわかり易く納得です。
なお、患者目線のレビュー記事を妻が書いていますので、そちらもご参考にして下さい。
次回は、酸素吸入ついての『我が家でのちょっとした工夫』などについてお伝えできればと思います。
CTEPHのことを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧下さい