過去記事で在宅酸素療法についてご紹介しました。
今回は在宅酸素療法を行うにあたって我が家で取り組んだ『DIY』についてご紹介したいと思います。
1. 在宅酸素療法 我が家の状況
1-1. 酸素供給装置
使っている『酸素供給装置』はこの様なタイプです。
大きさは、(幅)40cm×(奥行)26cm×(高さ)54cm といったところです。
1-2. 我が家の間取り
我が家の1階の間取りは以下の図の様になっています。
実際の寸法とはちょっと違いますが、概要としてはこんな感じです。
1-3. 妻の行動範囲
妻は基本的にダイニングのテーブルで過ごすか、リビングのソファで過ごすか、LDKの隣の和室で寝るかと言う感じで過ごしています。
ちなみにトイレやシャワーに行くときはカニューラは外していきます。
酸素吸入は妻にとっては『生命維持装置』ほどシビアなものではありませんので、1時間程度外していたからと言ってすぐに深刻な状況になるわけではありません。
2. 『在宅酸素 チューブ取り回しシステム(仮称)』
是非、BGMにこの曲を流しながら読み進めて頂けたらと思います。
そう、NHK「プロジェクトX 挑戦者たち」です。
2-1. 開発に至った経緯
『酸素供給装置』の左側から伸びているチューブをカニューラにつないで、鼻から酸素を取り込むわけですが、部屋の中を行き来しますし、就寝中もつけなくてはなりません。
『酸素供給装置』が小型だったら掃除機の様に器具を引き連れて動き回るのも悪くはありませんが、そうするにはちょっと大きすぎます。
床にチューブを這わしても大きな問題があるわけではありませんが、チューブを踏んづけてしまうと酸素が止まってしまいます。
本人、若しくは家族がチューブに足を引っ掛けてつまづいてもいけません。
2-2. 開発コンセプト
そこで私が考えたコンセプトは…
『チューブを天井か壁を這わす』
妻の『動線』を考えるとソファが背にしている壁づたいにチューブを這わせればチューブが床を這うことなく、我が家の中を行き来できると考えました。
『壁際の天井にカーテンレールを取り付けて壁づたいに自由に行ったり来たりできる』
これが私が考えたものです。
3. これが完成品
そして、こんな風になりました。
この奥には妻の寝姿が… (我が家の超機密情報ですので画像はここまで!)
4. 製作過程はこんな感じ
行ったり来たりできるようにするにはちょっとした工夫が必要でした。
どの様な構造になっているかを含めてご紹介したいと思います。
4-1. カーテンレールの取り付け
まず壁の上端にカーテンレールを取り付けました。
通常のカーテンとレースのカーテンがつけられる2列になったカーテンレールです。
カーテンレールの取り付け場所は下の間取り図のソファを背にした壁の部分です。
4-2. 「天井からぶら下げる案」却下の理由
ちなみに最初の構想では天井にカーテンレールを取り付けて天井からチューブをぶら下げることを考えました。
良く考えたら上からチューブがぶら下がっていると食事したりするのがとても不便だということに気づきました。
理論的には『スゴイ!』って思ったのですが、まったく実用的な発想では無かったのです…。
4-3. ホームセンターで材料仕入れ
近所のホームセンター『カインズ・ホーム』に行ったらちょうど壁面にピッタリサイズのものがありました。
ランナーと呼ばれるプラスチックの吊り部品には『滑車』をつけました。
4-4. 滑車と支持棒でチューブを左右に取り回す
『ランナー』につけることで滑車はカーテンレールを左右に動きます。
白い『棒』は滑車をスムーズに移動させたくてカーテンレールに近いところで操作するための工夫です。
4-5. 滑車はチューブの滑りを良くする工夫
最初はチューブをカードリングに通してみたのですが、滑りが悪くうまくカーテンレールを移動できなくて滑車を投入したわけです。
とても動きがスムーズになりました。
4-6. 偶然導入した2列式のカーテンレールが役立った
2列式のカーテンレールを購入したのは実はたまたま手頃なサイズがこれしかなかったという理由だったのですが、これが意外に良かった。
チューブの先にある『酸素供給装置』の左右に動かなければならず、チューブを左右に行き来させるには、同じカーテンレール上ではランナーが『詰まって』しまって都合が悪かったのです。
4-7. 定位置に座ったら支持棒は「止まり木」に引っ掛ける
ちょっと判りにくいかもしれませんが、上の写真は壁に向かってカーテンレールの右端です。
ダイニングでの妻の席はこの前になります。
こんな感じです。
妻がダイニングでの『定位置』に来たら、黒い金具に『棒の先端』についているリングをひっかけて固定できるようになっています。
リングを止めるための金具(止まり木)は寝室側にもこの様につけています。
棒のすぐ近くの滑車と『その前の滑車』の間はチェーンでつながれています。
このチェーンがあることで棒を引っ張ると滑車が『ついてくる』のです。
4-8. 「滑車の渋滞」が最後まで課題に
最後まで課題であったランナーに取り付けた複数の滑車が『渋滞』してしまうことは、『カーテンレールの真ん中付近』で1つ滑車を固定することで解消しました。
単に固定するのではなく、渋滞しない適度な長さで左右に動けるように、紐をつけてみました。
この『半固定する滑車』は、他の可動式の滑車がついているランナーとは別の方のカーテンレールにつけたランナーにぶら下げるのがミソです。
黒いのが紐で、水色の●がランナー、▲が滑車を表しています。
黒い紐は黒い●で壁に固定されています。
そして先ほどの写真の通り、『A』 と 『B』 はチェーンでつながれています。
『A』には『白い支持棒』が付けられており、その先には『カニューラ』が、『C』の先には『酸素供給装置』が接続されています。
妻が左側から右側に移動する時に『B』 と『C』が同じカーテンレールに吊るされていると、『B』は『C』より右側に移動できないわけです。
この単純なことに気づくのに結構な時間を要しました。
(^_^;)
沢山の『ランナー』と滑車を付けてみたり、『A』と『B』と『C』をチェーンで連結したりもしてみましたが、
これがベストです!!
5. 試作品を試してもらい完成!
この作業は最初の検査入院をしている時に始めて、手術前に一旦妻が退院してきた時に試運転をしてもらいました。
どうもしっくりした動きをしてくれなかったので、手術のために入院している時に試作品の改良を重ねて現在のスタイルになりました。
もう、とても満足しています。
妻よりも私がすっかり満足しています。
ほとんど自己満足かも…。(^_^;)
でも何はともあれ、床にチューブが這いずり回ることも無くなりすっきりすることができました。
というわけで、『カインズ・ホーム』で調達したもので充分満足する仕上がりになりました。(^_^)
6. 家族の入院も楽しみに変えて
当時の私は妻の退院はもちろん何も無くても待ち遠しかったのですが、
「是非、これを使ってもらいたい!!」
って思って更に滑車が…、じゃなかった、拍車がかかっていました。
私、妻の入院すら楽しみに変えてしまう…、
そんな能天気なところがあります。
(~_~;)
でも、それもこれも2回の手術で深刻な状況を脱していたからかもしれません。
CTEPHのことを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧下さい